ブランデーを飲みながら語るブランデーの雑学
ブランデーに関するうんちく、雑学などを集めました。
グラスを傾けながら話題にできる、ちょっとした豆知識のようなものです。
ブランデーをより深く味わうことができるようになり、高級でとっつきにくいイメージのブランデーがもっと身近なものに感じられるようになる話題の数々です。
ブランデー初心者の人に話すと、かなりのブランデー通だと思われるかもしれません!
目次
ブランデーという言葉の語源
ブランデーは、もともとノルウェイ語で「Brandeviin、ブランデウィン」(焼いたワイン)と言われていました。
これがオランダに伝わって「Brandewijin、ブランダウェイン」となり、イギリスに伝わってから英語で「Brandy Wine」となり、いつしかワインが取れて「Brandy、ブランデー」と言われるようになったのです。
ブランデーはワインから作ったお酒
ブランデーは「焼いたワイン」と言われたように、白ワインを蒸留して作ったお酒です。
コニャック、アルマニャックなど代表的なブランデーは白ブドウから作られています。
カルヴァドスはリンゴから、その他サクランボやラズベリーから作ったブランデーもあり、ブランデーの原料は果物です。
ちなみにウイスキーは、大麦、小麦、トウモロコシなど穀類が原料で、ビールを蒸留させてできたお酒です。
ナポレオンはブランデーの銘柄ではない
ブランデーと言えば「ナポレオン」という名前が思い浮かびますが、これはブランデーの銘柄ではありません。
ナポレオンはブランデーの等級を表す言葉で、熟成年数が長いものにこの名前が付けられます。
ナポレオンの平均の熟成年数は、コニャックでおよそ15年、アルマニャックで10年くらいです。
X.O.と表示されているものは「Extra Old」で、ナポレオンと同じく熟成年数が長いものです。
ナポレオンより少し下のもので「V.S.O.P」などがあり、ナポレオンよりさらに熟成年数が長いものは「オールダージュ」で、長いものは50年、100年などもあります。
なぜナポレオンがブランデーの等級の名前に?
諸説ありますが、ナポレオン1世がブランデーをこよなく愛したから、ナポレオンがセントヘレナ島に流されたときにブランデーが贈られたから、ブランデーの原料になるブドウが豊作になった年にナポレオン2世が生まれたから、などの説が信じられています。
島流しになったナポレオンに、ナポレオンの知人のコニャックメーカーからブランデーが贈られ、それを盗み飲みしたイギリス兵が「さすがはナポレオンのコニャックだ」と称賛した、という逸話が残されています。
V.S.O.P.とは何か?
ブランデーの表示でよく見かける「V.S.O.P.」とは等級の表示で「Very Special Old Pale」の略です。
「Very Special Old」は「とても優れていて古い」というのがわかりますが「Pale」というのは何でしょうか?
「Pale」は「色が薄い」ということで、ブランデーの場合は「澄んだ琥珀色」です。
この色が最高に良いとされているので、V.S.O.P.は、熟成期間が長いだけではなく、色も美しい仕上がりになっていることを表しています。
ブランデーと中華料理のXO醤の関係
中華料理の調味料に「XO醤」(エックスオージャン)というものがあります。
これは1980年代に、香港のペニンシュラホテルの広東料理レストランの料理長が、高級食材を用いて開発したペースト状の調味料です。
中華ハム、干しエビ、貝柱、ショウガ、トウガラシ、ニンニク、紹興酒その他の材料で作られています。
この「XO」は、ブランデーの等級のX.O. (Extra Old)から取っています。
しかしXO醤はブランデーが使われているわけでは無く、長く熟成されているわけでもありません。
おそらく高級感を出すためにネーミングに使ったのでしょう。
コニャックやアルマニャックはブランデー産地の名前
「コニャック」や「アルマニャック」はブランデーの銘柄の名前ではありません。
「コニャック」はフランスのコニャック地方で作られたブランデーで、「アルマニャック」はアルマニャック地方で作られたブランデーのことです。
この2つの地方は、古くから高品質のブランデーが作られた地として知られていて、この名前があれば「由緒正しいブランデー」だと言えます。
銘柄の名前で日本でよく知られているのは、「ヘネシー」「レミーマルタン」「カミュ」「マーテル」「ポールジロー」「クルボアジェ」などです。
ブランデーは最初は気付け薬だった
ブランデーがいつできたのかは定かではありませんが、7世紀ごろにはスペインでワインの蒸留が行われていたようです。
そして13世紀には、フランスの医者で錬金術者の「アルノー・ド・ヴィルヌーヴ」がワインを蒸留して「気付け薬」として使っていました。
そしてこれは「命の水」と言われるようになり、後のブランデーになるのです。
アルプスの山岳救助犬の首にブランデーの樽
シェパードやセントバーナードなど、山で遭難した人を救うアルプスの山岳救助犬は、首に小さな酒樽をぶら下げています。
この中身はほとんどの場合ブランデーです。
(ウイスキーやワインのこともある。)ブランデーは雪山で遭難した人の体を温め、気付けになります。
ブランデーを気付け薬として使っていた昔からの伝統的な方法を、今でも山岳救助に生かしています。
ブランデーで梅酒が作れる
梅酒は普通ホワイトリカーで作られますが、ブランデーを使った梅酒もおすすめです。
作り方は普通の梅酒と同じです。
普通の梅酒は熟成するのに1年かかりますが、ブランデー梅酒は3か月くらいで熟成します。
1年以上寝かせれば、味に深みとまろみが出て、香り高いおいしい梅酒になります。
「ブランデーグラス」は石原裕次郎のヒット曲
1977年に石原裕次郎のシングル曲「ブランデーグラス」が発売されました。
最初はあまりヒットしなかったのですが、テレビ朝日系列のドラマ「西部警察」で、石原裕次郎が演じる小暮謙三警視が歌ってからヒットするようになりました。
オリコンチャートで最高11位を獲得して、100位以内に通算65週というロングヒットになりました。
かなわぬ恋を歌った懐かしい昭和のヒット曲です。
ブランデーグラスは流行らなくなってきている
石原裕次郎の歌に出てくる丸い形のブランデーグラスは、グラスを手で包んでブランデーを温めるためのものです。
昔のブランデーはこうしないと香りが立たなかったのです。
しかし今のブランデーは質が良くなって、温めなくても香りが立つようになったので、この形のブランデーグラスはだんだん使わなれくなっています。
代わりにシャンパングラスのような細い形のグラスが主流になっています。
「ブランデーグラス」は歌と同じに、昔懐かしいものになりつつあります。
ブランデーで命を落とした音楽家
モデスト・ムソルグスキーは、「禿山の一夜」や「展覧会の絵」など、ロシアのクラシック音楽に貢献した作曲家の一人です。
生活の悩みなどからアルコール依存症になりましたが、立ち直ろうとして養生に励んでいました。
しかし友人の一人が、誕生日にブランデーの大瓶をプレゼントしました。
その翌日に、冷たくなった彼の遺体が空のブランデーの瓶と一緒に発見されました。
1881年、満42歳でした。
世界で一番高価なブランデーは?
世界一高いブランデーは「ヘンリーⅣ・コニャック・グランデ・シャンパン」で、その価格は$200万です。
熟成年数は100年を超えていて、万能薬が調合されています。
ボトルもゴージャスで、24金と6500個のダイヤモンドがちりばめられています。
ブランデーは靴磨きに使える
靴磨きの仕上げの「鏡面磨き(ハイシャイン)」のときに、ブランデーが使えます。
靴の汚れを落として、クリームを塗って、最後の仕上げにワックスでピカピカに磨き上げるのが鏡面磨きです。
ワックスを塗って、普通は水を1~2滴落として磨き上げるのですが、このときに水の代わりにブランデーを使います。
ブランデーは揮発性が強いので、靴に不必要な水分がしみ込まずきれいな仕上がりになります。
まとめ
ブランデーは日本では、ワインやビール、ウイスキーや日本酒ほどは身近なお酒と思われていないかもしれません。
しかしブランデーのことを知って、おいしいブランデーを味わうと、きっとその魅力に引き込まれるでしょう。
ブランデーの世界に入っていくために、そしてブランデーの魅力を共に語れる仲間を増やすために、ブランデーの雑学を役に立ててください。