いにしえのバーボンの味がする?ボンデッド・バーボンならこれを試してみて!
バーボンと言えば、アメリカの魂とも言われるウイスキーですよね。
製法・材料にも決まりがあり、その味わいは独特でまろやか。
そんなバーボンの中でも、「ボンディッド」と呼ばれるものがあるのをご存知ですか?
「Bottled in bond」とも記されるこのバーボン、バーボンが生まれた初期のものだとか。
どんなものなのか見てみたいと思います。
目次
「BONDED」ってどういう意味?
この言葉、直訳すると「納税済」という意味になります。
そもそもの始まりは1897年。
アメリカ連邦政府で「ボトルド・イン・ボンド法(Bottled in bond)」というものが制定されました。
これにより、バーボンは国の定めた規定を満たさなくてはならなくなりました。
その規定とは、以下の通りです。
●1蒸留所で1年のうち1シーズンだけ蒸留したものを樽詰めすること。
●ビン詰めは政府監視下のもと4年以上熟成され、アルコール度数は50%以上あるもので行うこと。
●アルコール度数50度以上で、加水禁止。
これらの条件を満たしたもののみが「ボトルド・イン・ボンド」あるいは「ボンディッド」というラベルを貼る事が許可されました。
「ボンディッド(BONDED)」や「ボトルド・イン・ボンド(Bottled in bond)」と記されたものは、その品質を政府がみとめているという証だったのですね。
どうしてこんな法律が生まれたの?
「ボトルド・イン・ボンド法」が制定される前は、アメリカン・ウイスキー業界はまさに何でもありの無法地帯でした。
製品を水で薄めたものを販売したり、風味つけの為に有害なものを使用したりしていたのです。
現在では使用が禁止されている着色料も当時は当たり前のように使われていました。
ヨウ素やタバコ、その他わけのわからないものもたくさんあったようです。
バーボンの品質基準を設けることは、消費者を保護することにもつながりました。
そのようにして、「ボトルド・イン・ボンド法」は制定されたのですね。
品質管理が厳しくなると、蒸留所も反発しそうなものですが、蒸留所に対しての優遇措置もあったようです。
例えば、蒸留所はエイジングが完全に終わるまで、物品税を払わなくても良いとされていました。
しかもこの厳しい法律のおかげで粗悪品が駆逐され、本当に良いものだけが残るようになったのですから、メリットは大きかったと言えるのではないでしょうか。
ボトルド・イン・ボンド法の現在は…
バーボンの品質管理に一役買ったこの「ボトルド・イン・ボンド法」、現在は廃止されています。
多くの製造業者はこの法律を古風なものと考え、たとえ条件を満たしていたとしても、わざわざラベルに記載しません。
使用されるとしたら、あくまでマーケティングツールとしてのためのみです。
古風なラベルが品質の証と考える人もいますからね。
そうでなくとも、バーボン製造のための規範は別に存在しています。
高品質なバーボンが溢れる現在、わざわざ「ボトルド・イン・ボンド法」にこだわる必要はないのかもしれません。
今でも「BONDED」バーボンはあるの?
ほとんど意味を失った「ボトルド・イン・ボンド法」ですが、現在も昔ながらの規律を守って造られているバーボンはあります。
割と簡単に見つかるようですよ。
いくつかご紹介してみます。
Heaven Hill(ヘブンヒル)
こちらはケンタッキー州バーズヒルから始まった、家族経営のカンパニーです。
バーボンの製造業者としては最大級の大手メーカーですアメリカ国内のアルコール製造業者の中では2番目の規模を誇っています。
多くの自社製品を持つほか、他社にも原酒を提供しています。
例えば、「クレメンタイン」、「ダニエルスチュワート」、「ヴァージンバーボン」など、数多くのブランドがヘブンヒルの原酒を使用しているのです。
面白いことに、ヘブンヒル蒸留所のマスター・ディスティラーはすべてビーム家の出身です。
「ジムビーム」で有名な、あのビーム家です。
もともとのマスター・ディスティラーはジョセフ・L・ビーム。
彼はビーム家の4代目、カーネル・ビーム(ジム・ビーム)のいとこにあたります。
その次は彼の息子ハリー。
そしてその後はカーネル・ビームの兄パークの息子、アールが継ぎました。
その後は現在のマスター・ディスティラーパーカー・ビームと彼の息子クレイグ・ビームへと引き継がれています。
ヘブンヒルの災難…
歴史もあり、大きな蒸留所だったヘブンヒルですが、1996年に大変な災難にあってしまいます。
火災のため、バーボン生産工場を完全に失ってしまったのです。
火災はまず老朽化した倉庫から始まりました。
その後、建物や車両にまで火が及び、保管されていたバーボンにも燃え移ります。
この火災で失ったバーボンはおよそ90000バレルといいますから、ものすごい損失です。
現在はルイビルにあるバーンハイム蒸留所で生産を行っています。
ヘブンヒル社からのおすすめボンデッド・バーボン!
大変な災難に会いましたが、再開後はさらに規模を拡大するなど、経営も順調。
ヘブンヒル社のボンデッド・バーボンを見てみたいと思います。
Evan Williams Bottled-In-Bond
1897年に制定された「ボトルド・イン・ボンド法」の基準に沿って製造されたバーボンです。
お値段はとってもお安く、20ドルもしません。
お手軽ですが、味わいは素晴らしいです。
カラーは美しい琥珀色。
バニラ、オークや甘い穀物の香りです。
なかなかパンチの効いたのど越しで、刺激的と感じるかもしれません。
バニラやスイートコーンの素朴な味わいが楽しめます。
バーボン本来の味わいを楽しみたいなら、おすすめの一品です。
ビームサントリー
ケンタッキー州クラーモントにて始まった蒸留所です。
2014年日本のサントリーホールディングスがビーム家より総額160億ドルで買収しました。
そのため現在の社名はビームサントリーとなりました。
しかし、ビーム家はいまなお7世代にもわたるバーボンの名門としてケンタッキーでも確固たる地位を保っています。
変わることのないバーボンの味と、高いクオリティでファンを魅了しています。
世界売り上げNO1ともいえるバーボンはこのビームサントリー社から造られてるのです。
現在のマスター・ディスティラーはフレッド・ノウ。
「グローバル・アンバサダー」とも呼ばれ、ビーム家の伝統を守りつつ、新たな市場を開拓し続けています。
JIM BEAM BONDED
こちらも1897年の法律に則った、古くからの製法を守って造られています。
ヘブンヒルの「Evan Williams Bottled-In-Bond」と同様、20ドル以内でお安く購入できます。
アルコール度数は50度ほど。
最低でも4年の熟成期間を経ています。
カラーは優しいキャラメル色。
ジムビームオリジナルと同様のラベル・ボトルの形です。
ただし、正面には大きく「BONDED」の文字が記されていますね。
香りは甘いキャンディコーン。
カラメル、ダークレザー、ドライフルーツ、バニラ、タフィーなど、とても表情豊かな風味です。
スパイスのぴりっとしたアクセントも感じます。
口に含むとバニラやタフィーの甘さを感じますが、やがてスモーキーでウッディな苦みも感じます。
円やかでなめらかな口当たり。
ヘブンヒルのボンディッドに比べると、若干穏やかな後口ではないでしょうか。
まとめ
バーボンの創世期ともいえる時代の「ボトルド・イン・ボンド法」。
この製法で造られたバーボンを飲めば、バーボン本来の姿を感じることができるかもしれませんね。
意外とお安く買えるものが多いので、見つけたら是非、試してみることをおすすめします。
おすすめの飲み方は、まずはストレートで。
それが少し強く感じたら、ソーダや水で好みの濃さに調整してください。
バーボンはカクテルベースにぴったりなので、お好みのカクテルを作ってみるのもいいかもしれませんね。