アフリカ大陸から高品質のブランデー。 ボプラ蒸留所のおすすめは?
日本からは遠すぎて、あまり馴染みのないアフリカ大陸。
自然豊かな大陸で、一番南にある南アフリカは世界でも有数のワインの名産地です。
そんな南アフリカには「R62ブランデールート」なるものがあります。
ブランデーの生産を行っている蒸留所が集まる地域なのですが、この中の一つが「ボプラ蒸留所」。
古い歴史を持つ蒸留所のおすすめを見てみたいと思います。
目次
南アフリカはブランデーの隠れた名産地
ブランデーとはオランダ語の「brandewijn(焼いたワイン)」に由来しています。
文字通りワインを蒸留し、製造されます。
もともとの始まりは大航海時代に一大勢力であったオランダの船。
長い船旅を行う彼らはワインを長期保存し、持ち運ぶために蒸留を行いました。
そして最初にデッキの上で大陸を発見した者にブランデーが振舞われたのです。
南アフリカで最初の蒸留が行われたのはテーブル湾に停泊していたオランダ船の中でした。
アシスタントの料理家は1164リットルのケープワインを126リットルのブランデーに蒸留しました。
そんな歴史を持つ南アフリカのブランデーは、今日では最高品質のものとして世界に知られています。
南アフリカのブランドは6年連続で国際的なワイン&スピリッツのコンペティションにおいて賞を獲得しているのです。
南アフリカのブランデー作成プロセスは…?
ブランデーの生産はとても繊細で複雑なプロセスを経なければなりません。
南アフリカの法律では、ブランデーは銅製のポットスチルで2回蒸留され、オーク樽で最低3年は熟成されなければなりません。
そしてベースとなるワインは常に最高品質のものを使用する必要があります。
このワインは「ベースワイン」と呼ばれ、ブランデー造りの第一歩と考えられています。
ワインに使用されるブドウは、主にシェンブランとコロンバール。
日常的に供されるテーブルワインとははっきりと一線を画した品質です。
そしてこのベースワインを蒸留するのが次のステップです。
蒸留プロセス
銅製のポットスチルで蒸留されたベースワインはアルコール度数およそ30%の「低ワイン」と呼ばれるものに変わります。
低ワインはその後2度蒸留され、さらに濃密なものに変化。
2回目の蒸留の最初の部分は「頭」と呼ばれて捨てられます。
この部分は望ましくないアロマと揮発性の化合物を有しているのです。
その次に取り出される部分は「心臓」。
これこそがブランデーの魂とも呼べるもので、ボトルに詰めて出荷されます。
アルコール度数はおよそ70%ほどです。
最後の部分は「テール」。
これも頭と同様廃棄されます。
ラストは熟成
抜き取られた「心臓」部分はオーク樽に入れられ、最低でも3年間熟成されます。
このプロセスが「熟成」です。
南アフリカでは多くのブランドが長期熟成(30年以上)を行います。
熟成中に、無色透明の原酒が独特なアンバーカラーを帯びるようになるのです。
この熟成のプロセスの間に「心臓」部分と樽の木材部分に相互作用が発生します。
マスターブレンダーは才能、経験、長きにわたる練習によって様々な樽からの原酒をブレンドします。
このように蒸留された原酒を100%使用したものが「ポットスチルブランデー」と呼ばれるのです。
南アフリカのブランデーには区分がある!
南アフリカの法律によると、ブランデーには3つの区分があり、それぞれ表記されなければなりません。
ポットスチルブランデー
100%ポットスチルから蒸留したブランデー。
最大容量340リットルの樽で最低3年間熟成。
アルコール度数は38%以下。
ビンテージ
成熟したワインスピリッツとポットスチルブランデーをブレンドしたもの。
アルコール度数は38%以下。
ブレンド
未成熟なワインスピリッツとポットスチルブランデーをブレンドしたもの。
アルコール度数は43%以下。
南アフリカのブランデーを巡る!R62ブランデールート
南アフリカは330年もの歴史を持つブランデーの名産地。
そんな南アフリカの高品質なブランデーに興味を持ったら、「R62ブランデールート」がおすすめです。
このルートは南アフリカで楽しむことのできるユニークなブランデーを楽しむのに最適なルートなのです。
このルートは蒸留所だけではなく、レストランやパブなども豊富。
自然の中をドライブしながら、のんびりした気分であちこち巡ることが出来る人気ルートなのです。
ボプラ(Boplaas)
R62ブランデールートで訪れることのできる蒸留所に「ボプラ」があります。
蒸留所があるのはカル―の南部岬にある、小さな絵のような村「Calitzdorp」素晴らしい南アフリカの自然に囲まれたのどかな場所です。
そんな場所にあるボプラは優れたポートとワインの生産者として知られています。
ボプラは世界クラスのプレミアムワインを作り続けているのです。
ボプラには由緒正しい歴史がある!
南アフリカに代々住み続けているファミリーは、宗教的迫害を逃れ、フランスから脱出したユグノー族の血を受け継ぐ人が多いです。
これらユグノーの人々が南アフリカにおける農業やワイン製造に多大な影響を与えてきたのです。
そんなユグノー族の血を受ける「ネル」一家は19世紀半ば、現在のカリツドープ村(Calitzdorp)に定住しました。
そしてこの地にブドウ畑と果樹園を作ったのです。
そして現在のマスターディスティラー「カール・ネル」の偉大な祖父がボプラのブランデーを始めてイギリスに輸出しました。
それ以降ブランデーやワインの製造を一家で引き継いできたのです。
現在のセラーが作られたのは1980年のことです。
そして1994年以降は継続して南アフリカのワインガイドから合計13回もの5つ星評価を獲得。
ブランデーにおいても、「SA National Young Wine Show」においてトロフィーを受賞しました。
これは南アフリカ産ブランデーとしては初めての快挙でした。
ボプラのブドウ畑のこだわり!
ボプラのある地域は南アフリカでも気候変動が激しいところです。
地面にも様々な問題があり、ブドウ栽培には厳しいと思えるかもしれません。
しかし、気候の寒暖の差の激しさはブドウにとってかなりのメリットになります。
寒暖の差が激しいと、栽培されるブドウは風味豊かな味わい深いものとなり、複雑な味わいを持つようになるのです。
これは良いワインを作る上でもブランデーを作る上でも欠かすことはできません。
およそ70ヘクタールのブドウ園には17種類以上のブドウが植えられています。
これらの収穫は全て手作業。
作られるワインやブランデーに合わせて個別に収穫されるのです。
カレル・ネルリザーブ5年(Carel Nel Reserve Brandy 5 Years)
コロンバール品種を使用したブランデーです。
ポットスチルブランデーとワインスピリッツを4:6でブレンド。
フレンチオーク樽で5年ほど熟成させました。
深い味わいとまろやかさが特徴です。
ボプラポットスチルリザーブブランデー20年(Boplaas Potstill Reserve Brandy 20 Years)
コロンバール品種を使用。
フレンチオーク樽にて20年熟成されました。
ザクロ、ハチミツ、ハーブの複雑な味わい。
滑らかでしなやかな口当たりです。
ストレートでまったりと頂くのがおすすめ。
創業当時の奥深い味を今に伝えるブランデーです。
まとめ
フランスからの移民が多く、本場コニャックやアルマニャックにも負けない品質を誇る南アフリカブランデー。
ワインの有名な産地だけあって、ブランデーも高品質なものばかりです。
「ボプラ蒸留所」はワインやポートワインの生産も手掛ける由緒正しい蒸留所。
最近ではウイスキーの蒸留と販売も始めたそうです。
伝統と進化を遂げる「ボプラ」のブランデー、気になったら是非探してみて下さいね。