カナディアン・ウイスキーとアイリッシュ・ウイスキー
ウイスキーの世界5大産地として、スコットランド、アメリカや日本の他に、カナダとアイルランドがあります。
この5大産地が世界のウイスキーの約9割を生産しているといわれています。
今回、このうちカナダとアイルランドのウイスキーをご紹介します。
カナディアンは5大産地の中で最も軽いお酒といわれ、軽快でマイルドな風味が特徴です。
アイリッシュもピート香がなく、まろやかでおだやかな味わいが特徴です。
目次
カナディアン・ウイスキーの歴史
パリ条約でフランスはカナダの植民地を放棄し、イギリスからカナダへ移住するようになりましたが、アメリカの独立戦争を契機に、アメリカから農民が大量移住してきて穀物を生産するようになりました。
18世紀後半、穀物が生産過剰になって、それらを使った蒸留酒の生産が始まりました。
当初はライ麦を原料としたウイスキーでしたが、19世紀後半に連続式蒸留器が導入され、トウモロコシなども原料として使われるようになって、現在のカナディアン・ウ
イスキーの製造方法が確立しました。
カナディアン・ウイスキーの製造方法
カナディアンウイスキーはライ麦を主な原料にしたフレーバリング・ウイスキー(ライ・ウイスキー)と、トウモロコシを主原料にしたベース・ウイスキー(グレーン・
ウイスキー)の二種類をブレンドしたウイスキーです。
カナディアン・ウイスキーのほとんどがこのブレンデッド・ウイスキーで、再貯蔵も含めて3年以上樽熟成します。
ブレンド比率はフレーバリングが約20%、ベース約80%が一般的で、カナダ産以外のスピリッツやワインを9%程度まで加えることが許されています。
カナディアン・ウイスキーおすすめの銘柄
カナディアン・ウイスキーの代表銘柄 カナディアンクラブがおすすめです。
世界中に愛飲者がいて、C.C.の愛称で親しまれています。
すっきりとしていてクセがなく、ライトでスムーズな口あたりですから、ウイスキーに飲みなれていない人に贈りたい1本です。
クラッシック12年は、12年間の樽貯蔵で熟成された芳醇で力強い味わいがまろやかさとライ麦の華やかな香りに加わり、バランスがよいカナディアン・ウイスキーに仕上
がっています。
アイリッシュ・ウイスキーの歴史
19世紀後半の記録によれば、ウイスキーの蒸溜所はスコットランドに129、アイルランドにも28あったとされます。
アイルランドの蒸溜所の規模は大きく、スコットランドに対抗できる生産力でした。
しかし、20世紀に入ると、アメリカ市場でスコットランドとの競争に敗れたこと、アイルランド独立戦争による分裂などで急速に衰退していきました。
現在、アイルランドで稼働している蒸溜所は南部のミドルトン 、クーリーと北アイルランドのブッシュミルズだけです。
アイリッシュ・ウイスキーの製造方法
大麦麦芽(モルト)、大麦、オーツ麦、小麦やライ麦などを原料として、糖化・発酵を行い単式蒸留器で3回蒸留を行なうピュアポットスチルとよばれる方法が伝統的な
製造方法です。
原料の乾燥にピートを使用しないため、滑らかで軽快な口あたりが特徴です。
現在、この方法によるピュアポットスチル・ウイスキーを製造しているのはミドルトン蒸留所だけです。
クーリーは新しい蒸留所で、ブッシュミルズはモルト・ウイスキーを蒸留しています。
アイリッシュ・ウイスキーのおすすめ銘柄
ミドルトン蒸留所のパワーズ ゴールドラベルがおすすめです。
アイルランド国内では最もポピュラーなウイスキーです。
ピュアポットスチル・ウイスキーに約30%のグレーン・ウイスキーがブレンドされたウイスキーで、アイリッシュらしい柔らかな香りと麦芽や麦の旨味が特徴です。
また、世界中で愛されるアイリッシュ・ウイスキー ジェムソンの セレクト・リザーブもおすすめです。
こちらもピュアポットスチルのブレンデッド・ウイスキーですが、熟成樽由来のバニラ香やシェリー風味が伝統的なジェムソンのテイストに加わったプレミアムな一品で
す。
まとめ
カナデアンとアイリッシュは原料と製造方法に特徴があり、柔らかい、軽いやまろやかといったテイストのウイスキーです。
元来、カナデアンといえばライ・ウイスキー、アイリッシュといえばピュアポットスチル・ウイスキーです。
販売されているのは、グレーン・ウイスキーがブレンドされている銘柄が多いのですが、ライ麦100%のシングル・ライ・ウイスキーや100%ピュアポットスチル・ウイス
キーもあります。
ぜひ、これらを試してカナダとアイルランドの風土・文化に触れてみてください。