クラフト蒸留所が熱い!ミドルウエスト蒸留所のおすすめバーボン
アメリカではウイスキーブームが続き、バーボンの売上もかなり好調。
バーボンと言えばケンタッキー州が思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
しかし現在アメリカ国内では小規模蒸留所、いわゆるクラフト蒸留所が次々と設立されています。
ケンタッキー州以外でも、オリジナルバーボンが作られるようになってきたのです。
現在注目を集めるクラフト蒸留所の一つ、「ミドルウエスト蒸留所」を見てみたいと思います。
目次
アメリカの魂・バーボン!
バーボンはアメリカ建国当初から愛されてきた飲み物です。
スコットランドやアイルランドの移民が蒸留技術を持ってやってきて、ウイスキー造りを始めました。
アメリカン・ウイスキーはケンタッキー州で現在「バーボン」と呼ばれるオリジナルなものになりました。
スコッチともアイリッシュとも違う「バーボン」。
どのような点が異なるのかおさらいしてみたいと思います。
アメリカ合衆国内のルールがある
スコッチやアイリッシュウイスキーには厳しい原産地呼称統制法があります。
原材料や蒸留方法、原産地まで決まりがあり、これを満たさないものはスコッチやアイリッシュウイスキーとしては認められません。
バーボンもほぼ同じ。
決められた製法と材料があり、以下に反するものはバーボンとなることはできないのです。
- アメリカ合衆国内で製造されること。
- 主原料のトウモロコシは51%以上使用しなければならない。
- 熟成には炭化被膜処理された新品のオーク樽を用いること。
- アルコール度数80%以下で蒸留されること。
- 樽で熟成される前の原酒となる蒸留酒はアルコール度数62.5%以下であること。
- ボトリングする際のアルコール度数は40%以上であること。
これらの条件を満たさないものはバーボンと呼ばれることはありません。
この中でバーボンの特性を得るために特に重要なものは熟成に炭化被膜処理された新品のオーク樽を使用することです。
樽を炭化被膜処理することによって、バーボン特有のバニラ香やキャラメルのような風味、深い琥珀色が出るのです。
どうして新品の樽の内側を焦がすのか
樽の内側を強い熱で炭化させる方法を「チャー」といいます。
さらに何度か使用した樽を再活性させるために加熱処理を行うことを「チャーリング」と呼びます。
このように内部に加熱処理を施すと、「バニリン」という熟成香味成分が生成されます。
この熟成香味成分がバーボンに甘みと深みを与えてくれるのです。
また、もともと無色透明のウイスキー原酒の色を付けるのは樽由来のタンニン。
これは樽の材料となる原木によって、またはチャーの度合いによって溶出する量にも違いがあります。
バーボンの個性を決めるのは樽。
炭化被膜処理することによってバーボンらしい味わいと色見を持つようになるのです。
バーボンがバーボンらしい味わいを持つためには必要な工程というわけなのです。
バーボンはケンタッキーだけのものじゃない
前述のとおり、バーボンには製法や原材料に決まりがあります。
しかし、生産地による細かい規定はありません。
ブランデーのコニャックやアルマニャックは、その土壌がブランデーの味わいを大きく左右するため原産地まで細かく規定されています。
しかし、バーボンにはそれがありません。
アメリカ国内というしばりはありますが、ケンタッキー州以外で製造することも可能です。
にもかかわらず「バーボンと言えばケンタッキー」というイメージが定着しています。
ケンタッキーはバーボン発祥の地であり、現在まで続く歴史と伝統があります。
バーボンを生産している大手蒸留所のほとんどはケンタッキー州にあり、バーボンの総生産量の95%を州内で生産していると言われています。
このためケンタッキーは「バーボンの首都」と呼ばれているのです。
しかし、現在のアメリカはクラフト蒸留所ブーム。
あちこちの小さな蒸留所がオリジナルのバーボンを製造し、販売しています。
その品質も本家を凌ぐと言われるものもあるほど。
ケンタッキー産ではなくても美味しいバーボンはたくさん生み出されているのです。
オハイオの蒸留所:ミドルウエスト蒸留所(midlewestdistillery)
2003年にアメリカではクラフト蒸留所を推進する団体「American Distilling Institute」が設立されました。
当時認可された蒸留所はわずか69ほどでした。
しかしその後飛躍的に増加し、現在では400以上の蒸留所が認可を受けています。
オハイオ州にある「ミドルウエスト蒸留所」もそんなクラフト蒸留所の一つです。
ブレディ・コンヤ(Brady Konya)とライアン・ラング(Ryan Lang)の二人が、2008年に「Middle West Spirits」を創設。
2010年には商業生産のための蒸留所を開設しました。
マーケティングと製造の豊富な経験を持つ二人はオハイオの世界レベルの農産物やクリエイターとしてのオリジナリティ、クリエイターとしての誠実さをもってスピリッツを作り始めました。
彼らの信念は「クラフト蒸留所はクリエイターが手作業で丹念に作業し製品を作り上げること」というものです。
多くの蒸留所では「手作業」を行っていません。
しかしミドルウエスト蒸留所のスピリッツは穀物からボトリングに至るまで手作業。
アメリカの伝統的なスピリッツを今に伝える本物のクラフト蒸留所なのです。
OYOシェリーフィニッシュドバーボン(OYO Sherry-Finished Bourbon)
トウモロコシ・大麦・小麦のブレンドから製造されたバーボンです。
内部を焦がしたホワイトアメリカンオーク樽で熟成されています。
熟成後は焦がしたシェリーカスクへ入れられます。
シェリー樽のおかげでダークチェリー、チョコレート、プラム、デーツ、ナツメの風味が加わりました。
滑らかで複雑な味わいを持つバーボンです。
カラーは樽由来の深い琥珀、アルコール度数は43.25%です。
2017年「ベルリン国際スピリッツ」シルバーメダルを獲得。
同年の「アルティメットスピリッツチャレンジ」では93ポイントを獲得。
「強くおすすめ」の評価を受けています。
OYOバーボンウイスキー、ミシェロンリザーブ(OYO Bourbon Whiskey, Michelone Reserve)
マスターディスティラーの祖父の名をとったスモールバッチバーボンです。
甘く黄色く熟したトウモロコシ、柔らかい赤色の冬小麦、暗い紫色のライ麦、大麦をブレンドしたフレーバーフォワードタイプのバーボンです。
カラーはダークな琥珀色。
バナナ、ココナッツクリームパイの甘い香り。
しなやかでフルーティなミディアムから甘いクリーム、ドライフルーツ、ナツメグのフルボディへと変化します。
風味豊かでエレガント。
バランスのとれたバーボンです。
アルコール度数は45%。
2016年「ニューヨーク・ワールド・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」にてゴールドメダル獲得。
2016年「ベルリン国際スピリッツコンペティション」にてダブルゴールドメダル獲得。
2017年「ベルリン国際スピリッツコンペティション」にてゴールドメダル獲得。
OYOバーボンウイスキーを使用したカクテルレシピ!
ミドルウエスト蒸留所のバーボンは、カクテルベースとしてもおすすめ。
レシピをご紹介したいと思います。
アスティ・ミシェロン(Asti Michelone
シンプルかつ複雑。
オレンジのタッチが軽く甘いカクテルです。
- 材料:OYOバーボン:2OZ
- ホワイトアペリティフワイン:1OZ
- オレンジを絞ったもの
これらを全て混ぜ合わせ、グラスに注ぐ。
オレンジの皮を飾る。
ウイスキー・パンチ(Whiskey Punch)
- 材料:OYOバーボン12OZ
- グランマルニエ:12OZ
- フレッシュオレンジジュース:12OZ
- フレッシュパイナップルジュース:12OZ
材料を全て混ぜ合わせ、クラッシュアイスの入ったグラスに注ぐ。
まとめ
アメリカで続々と誕生しているクラフト蒸留所。
小規模でもその情熱は大手蒸留所に負けてはいません。
ミドルウエスト蒸留所はオハイオという場所にありながら、ケンタッキーの古参蒸留所にも負けない品質とこだわりで注目を集めています。
大手メーカーのバーボンに飽きたら、こだわりの詰まったクラフト蒸留所のバーボンがおすすめです。