世界で最もヘヴィーなウイスキー?ブルックラディ蒸留所からアイラモルトのおすすめ!
アイラ島のウイスキーと言えば、ヨード香やピート香が強烈な、通好みのウイスキーといったイメージです。
ボウモアやラフロイグなど、独特で個性的なウイスキーを味わいたい方からは大人気ですよね。
そんなアイラモルトからご紹介したいのは「ブルックラディ蒸留所」。
アイラ島内でも古い歴史を持ち、独特のスタイルでウイスキーを作り続けてきた古参の蒸留所です。
一時期蒸留を停止していましたが、見事復活をとげ、伝統あるウイスキーを作り続けています。
どんな蒸留所なのでしょうか。
目次
アイラモルトってどんなウイスキー?
アイラモルトはスコットランドのアイラ島でつくられるモルトウイスキーの総称。
アイラ島はスコットランドのヘブリディーズ諸島の南端、ジュラ島のすぐ西側に位置しており、「ヘブリディーズ諸島の女王」と呼ばれています。
地理的にアイルランドに近いことから、ウイスキーの伝播も早かったと見られます。
現在スコットランドでは多くの蒸留所がウイスキーを作っていますが、アイラ島の蒸留所は古くからあるものが多く、スコッチの中でも独特の地域として知られています。
アイラ島はスコッチウイスキーの6区域のうちの一つ。
地域ごとに味わいや風味の異なるスコッチウイスキーにおいて、アイラモルトは「通好み」として知られます。
独特のピート香や個性の強さは初心者にはちょっと厳しいかもしれません。
ウイスキー上級者にこそおすすめできる、奥深い味わいのウイスキーなのです。
アイラモルトの特徴とは!
ウイスキーを飲んでいて、スモーキーさがガツンと来たり、ピート香を強く感じたりしたらそれはアイラモルトかもしれません。
あるいは、アイラモルトをベースにブレンドされたウイスキーの可能性も。
アイラモルトの特徴は麦芽に焚きこめるピートをふんだんに使用することです。
ですからピート香が強く、個性的な味わいになるのです。
また、地理的に海が近いこともあり、潮や海の香りをふんだんに含んだピートを使用するため、「潮の香り」がするウイスキーもあります。
昔ながらの伝統を守る蒸留所が多い!
アイラモルトと言えば「ボウモア」蒸留所や「ラフロイグ」蒸留所が有名です。
これらの蒸留所では昔ながらの「フロアモルティング」製法を使用しています。
「フロアモルティング」とは「床式製麦」。
文字通り床の上で大麦を発芽させる製法です。
この昔ながらの製法を今なお続けているのはボウモアやラフロイグを含む6つしかないと言われています。
ブルックラディ蒸留所(Bruichladdichdistillery)
ブルックラディ蒸留所(Bruichladdichdistillery)は1881年に始まった蒸留所です。
日本語に訳しにくい名前ですが、オリジナルはゲール語。
氷河が後退したあとの浜辺、または岩礁の岸辺という意味だそうです。
ブルックラディ蒸留所の始まりとは…
ブルックラディ蒸留所はジョン、ウイリアムス、ロバートのハーヴェイ3兄弟によって、1881年に設立されました。
ハーヴェイ家は1770年以来、スコットランドのグラスゴーに「DUNDAS HILL」と「YOKER」という2つの蒸留所を持つウイスキー一家として知られていました。
蒸留所はロバートが設計し、ジョンが蒸留経験を持ち、ウイリアムスが資金を提供しました。
兄弟が蒸留所を造るまで、アイラ島にある蒸留所はいわゆる「農家蒸留所」。
大規模なものは一つもなく、家畜小屋のすみで蒸留を行っていました。
ブルックラディ蒸留所はこれらの蒸留所とは全く対照的なもの。
可能な限り最もピュアなスピリッツを生み出すよう設計されたスチルは高さ6m。
蒸留所は大聖堂のように見えたと言います。
当時は新しかったコンクリートを建築材料として使用し、効率や人間工学の見地から蒸留所を建設。
近代的で、当時は最先端のビクトリア式の蒸留所が完成しました。
ロバートのインスピレーションによって生み出された蒸留所のデザインは現在でも、ウイスキー業界に引き継がれています。
また、当時の兄弟の蒸留所が如何に素晴らしかったかということは、現在でも大部分が当時のままに使用されているという点からも明らかです。
ブルックラディ蒸留所の閉鎖…
最寄りの海岸からの石を使用し、大きく広々とした効率的な造りだったブルックラディ蒸留所。
創設以来兄弟たちによってウイスキー製造が行われました。
しかしその後、1934年に蒸留所内で火災が発生。
兄弟たちの間で喧嘩が勃発してしまいます。
結局その後はウイリアムスが経営を引き継ぎ、1936年に亡くなるまで蒸留所を保持していました。
そして様々な企業買収などを経て、1994年に蒸留所は閉鎖されてしまいました。
ブルックラディ蒸留所の復活!
1994年に操業を停止してしまったブルックラディ蒸留所。
一時はこのまま伝統がなくなってしまうのではないかと危ぶまれたのですが、2000年にスコッチウイスキーのボトラー「Murray McDavid(マーレー・マクダビッド)」によって買収されます。
そして「Murray McDavid(マーレー・マクダビッド)」を率いていたMark Reynier(マーク・レイニエ)は蒸留所の再建に乗り出したのです。
その際マスター・ディスティラーとして選ばれたのが「ジム・マッキワン(Jim McEwan)」氏。
彼はもともと「ボウモア蒸留所」でブランドアンバサダーとして働いていました。
そんなジム・マッキワンにより、ボロボロだった蒸留所が再び息を吹き返しました。
閉鎖時に解雇されたスタッフを再び呼び戻し、修繕作業を重ね、再び蒸留にこぎつけたのは2001年10月のことでした。
蒸留機材は1881年の創業当時のものをそのまま使用。
ですから当時のままのピュアなウイスキーを作ることが出来るのです。
ブルックラディ蒸留所のこだわりとは!
ブルックラディ蒸留所のマスター・ディスティラーとなったジム・マッキワン氏。
彼は業界でも伝説的な人物として知られていました。
彼は操業が再開した時から、「なるべく自然なウイスキーを作りたい」と考えていました。
そして全ての工程をアイラ島内部で行うことを決定。
蒸留、熟成、ボトリングまで全てを行ってこそ「アイラモルト」であると考えたのです。
当時、アイラ島でできたウイスキーはスコットランド本島に送られて、ボトリングされていました。
ですから、島内でボトリングするのは不可能であると考えられていたのです。
しかし、ジム・マッキワン氏は島内にボトリング設備を作り、ここでボトリングを行いました。
さらに次の目標はアイラ産の大麦を使用すること。
マッキワン氏は島内の農家に大麦の栽培を依頼して回ります。
しかし、応じてくれたのはたった2軒のみ。
そのため当初は苦労しましたが、やがてウイスキー製造がうまくいくと、ほかの農家たちも賛同してくれるようになります。
現在では12軒もの農家が大麦を供給してくれるようになりました。
こうして年間1000トンもの大麦がアイラモルトとして使用されるようになったのです。
また、熟成に関しても島内にこだわりました。
ほかの蒸留所ではスコットランド本島に持ち出してから行われる熟成過程を、アイラ島内で実現。
アイラ島の大地から生まれ、島の空気を含む本当の「アイラモルト」が生まれたのです。
Octomore07.1Scottish Barley(オクトモアスコティッシュ・バーレイ)
「世界で最も重いウイスキー」と言われています。
人間が作り得るもっともピーティなウイスキーです。
究極のアイラモルトとよべるかもしれません。
ピーティさを示す数値は通常のウイスキーですと、20~50ppm。
しかしこの「オクトモア」は208ppmという圧倒邸な数値を持っているのです。
極々弱火でピートをじっくりと焚き、麦の芯まで煙を吸い込ませました。
そのおかげで驚異的にヘヴィーなウイスキーがうまれたのです。
冷却濾過やカラメル色素による着色は全く行われていません。
ブラックボトルが印象的なアイラモルト。
ウイスキー好きなら是非試して頂きたい、おすすめの逸品です。
まとめ
ボウモア蒸留所のジム・マッキワン氏によって見事な復活を遂げた「ブルックラディ蒸留所」。
「オクトモア」は発売以来大変な人気を集めています。
蒸留所では手作りにこだわり、アイラ島というテロワールにこだわった独自のスタイルが特徴です。
ピーティでスモーキーなウイスキーを味わってみたい方なら必ず気に入るはずです。
その味わいは個性の強いアイラモルトの中でも「最もエレガントで華やか」。
ブルックラディ蒸留所のお気に入りを是非見つけてみて下さいね。