個性が際立つプレミアム・バーボン! シングル・バレル
プレミアム・バーボンやクラフト・バーボンと称されるバーボンが人気ですが、そのなかでも、個性が際立つのがシングル・バレルです。
通常バーボン・ウイスキーは、味と品質を安定させるために、数十樽の原酒をブレンドして造られますが、シングル・バレルは1つの樽の原酒だけを瓶詰めしたバーボンです。
貯蔵所の中から色・香り・味の全てにおいて、完璧に熟成した樽が選ばれ、瓶詰めされます。
豊かなコクと芳醇な香味と樽による微妙な味の違いも楽しめる名酒が揃っています。
蒸留所ごとに代表的なシングル・バレルをまとめてみましたので、ご紹介します。
バッファロー・トレース蒸留所
ケンタッキー州の州都フランクフォートにあり、ケンタキー川の畔にあるバッファロー・トレース蒸留所(旧エンシェント・エイジ蒸留所)の歴史は古く、1857年には蒸気の熱をウイスキー作りに取り入れるなど、近代的蒸留所として建設されました。
禁酒法時代(1920-1933年)も医薬品として蒸留を許可された、全米で最も長い歴史を持つ蒸留所です。
蒸留所の名前は、バファロー(野牛)がケンタッキー川を渡る場所だったことに由来するそうです。
生産している銘柄は多く、「バッファロー・トーレス」、「エンシェント・エイジ」、「ベンチマーク」などがあり、シングル・バレルには「ブラントン」シリーズやバッファロー・トレース蒸留所の原酒をロック・ヒル・ファームズ社が独自に熟成したシングル・バレル「ロック・ヒル・ファーム」もあります。
イーグル・レア 10年 シングルバレル
アメリカの国鳥である鷲と稀という意味を商品名に冠したバーボンで、ケンタッキーの風土でじっくりと10年以上熟成された原酒の中から選び抜かれたものだけが製品化されています。
2001年の発売以来、毎年のようにコンペティションで賞を受賞している徹底したこだわりのシングル・バレルです。
液色は黄金にちかい琥珀色、華やかな香りがあって、 軽やかで上品な甘さと味わいが楽しめます。
エルマーT.リーシングルバレル
旧エンシェント・エイジ蒸留所のマスターディスティラーで、「ブラントン」の生みの親でもあるエルマーT.リーの集大成と位置付けられるシングル・バレルです。
甘味が抑えられてすっきりしていますが、バニラ香とフルーティな味がマッチし、コクと味わいが深い名酒です。
ヘブン・ヒル蒸留所
ヘヴン・ヒル蒸留所は、ケンタッキー州の蒸留所の中で最も多くの銘柄を生産する蒸留所で、世界中で流通しているバーボンの銘柄の約7割、約250銘柄を生産しています。
1934年、禁酒法の解禁後、ケンタッキー州のバーズタウンでシャピラ家によって創業され、蒸留所のヘブン・ヒルという名は土地の農場主であったウイリアム・ヘブン・ヒルに由来します。
1996年に起こった大火災で焼失したものの、ルイビルにあるバーンハイム蒸留所を買収し生産しています。
代表的な銘柄は、「ヘヴン・ヒル」、「エライジャ・クレイグ」、「エヴァン・ウィリアムス」などがあり、シングル・バレルには「エライジャ・クレイグ 18年」、「エヴァン・ウィリアムズ・シングルバレル」があります。
ヘンリー・マッケンナ・シングルバレル
1839年にアイルランドからケンタッキー州に移住したヘンリー・マッケンナはアイルランドでの蒸溜所勤務の経験を活かし、バーボンの製造を始めました。
高品質を追求するため、1日1樽の限定生産で、深いコク、熟成された風味が評判になり、幻のバーボンと呼ばれるようになりました。
現在はヘヴン・ヒル蒸留所で生産されていますが、伝統的な手作り生産が引き継がれています。
上品な香り、スムーズな飲み口、品のいい味わいの中に深いコクと柔らかさが感じられるバーボンです。
フォア・ローゼス蒸留所
1888年に創業、1910年ケンタッキー州ローレンスバーグに設立された老舗の蒸留所で、蒸留所棟はアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定された歴史ある建造物です。
生みの親はアトランタ生まれのポール・ジョーンズとされており、薔薇の花が4輪描かれたラベルの由来については諸説あるようです。
ポールの美しい妻との出会いと思い出、ジョーンズ親子が買い取った蒸留所の持ち主の名前という説、あるいはローズ家のパーティにあらわれた4人の女性の説などがあります。
このローレンスバーグでフォア・ローゼスを何種類も造り続けていますが、現在は日本のキリンビールが所有しています。
フォア・ローゼス シングル・バレル
おすすめはフォア・ローゼス シングル・バレルです。
マスターディスティラーのジム・ラトリッジがいくつもの原酒の中から、1種類の原酒を選び、さらに熟成を重ね、香り立ちと味わいのピークを迎え、原酒の個性がもっとも引き出された樽を決定し瓶詰めしています。
1樽から瓶詰めできるのはわずか235本、瓶詰めもすべて手仕事で行なわれます。
これまで、蒸留所のスタッフだけが味わえたバーボンの原石を味わってみて下さい。
ワイルド・ターキー蒸留所
1869年にトーマス・リピーが、ケンタッキー州ローレンスバーグに創業したリピー蒸留所が起源で、「ワイルド・ターキー」の名は、蒸留所のオーナであったトーマス・マッカーシーが自慢のバーボンを仲間の七面鳥ハンターにふるまったところ大好評で、仲間から「ワイルド・ターキー」と呼ばれ始めたことに由来します。
使用される原料配合は、ライ麦と大麦麦芽(モルト)の比率が高く、他に比べてコーンの比率が低いのが特徴です。
コーンは甘さ、ライ麦は風味をバーボンに与えますので、この原料配合が原酒の香味に反映されているのでしょう。
ラインアップには「ワイルド・ターキー」の他に、「ラッセンズ・リザーブ」もあります。
ラッセンズ・リザーブ シングル・バレル
シングル・バレルには「ワイルド・ターキー・ケンタッキー・スピリット」がありますが、おすすめは「ラッセンズ・リザーブ シングル・バレル」です。
「ワイルド・ターキー」のマスターディスティラーであるジミー・ラッセルの技が凝縮されたバーボンです。
50年以上バーボン業界をリードして来た、伝説のマスターディスティラーが自らの名前を付けたシングル・バレル、どんな味がするんでしょうか?
とても興味が湧きます。
チャールズ・メドレー蒸留所
かつて「エズラ・ブルックス」ブランドも所有してたメドレー社は、1812年、ジョン・メドレーによってオーエンズボロに設立されれました。
その後、メドレー社は解体されてグレンモアの傘下になり、そのグレンモアも1991年には、ユナイテッド・ディスティラリーの傘下に入ってしまいます。
しかし、メドレー家を後継したチャールズ・ワッセン・メドレーが、1996年にオーエンズボロの蒸留所を買取り、再びチャーチル・メドレー蒸留所を設立しました。
良質なトウモロコシを使用し、低い温度、低アルコール度数で蒸留するため、味わいがなめらかで、しかも芳醇なバーボンに仕上がります。
ワッセンズ シングル・バレル
古くからメドレー家に伝わるイースト菌を使い、家族の手造りで造り上げているシングル・バレルがおすすめです。
自分たちがが貯蔵する樽の中から厳選した原酒を、手作業で瓶詰めしており、デリケートな口当たりでバランスがよく、キレのある味わいと上品な香りが特徴です。
まとめ
今回はシングル・バレルのバーボン・ウイスキーをご紹介しました。
これとは別に、5~10樽未満の、テイスティングで良い樽だけがブレンドされる、蒸留所のこだわりが感じられるスモール・バッチとよばれるプレミアム・バーボンもあります。
さらに、加水によるアルコール度数の調整を行なわず、原酒をそのまま瓶詰めして出荷するバレル・プルーフも販売されています。