ベースはグレープ・ブランデー!ギリシャのリキュール・ウーゾってどんなお酒?
ウーゾとはギリシャ特有のお酒です。
ベースはつぶしたブドウやレーズンを原材料とした蒸留酒。
つまりグレープブランデーですね。
そこにハーブや薔薇の花びらなどが混ぜられています。
ちょっと味の見当がつかない…。
そう思われる方も多いかもしれませんね。
しかし、なんといってもギリシャは世界で最も古いワインの生産地の一つ。
お酒の歴史も長いのです。
そんなギリシャで国民から愛されているお酒、ウーゾ。
日本ではあまり見かけませんが、ギリシャではとってもポピュラーな飲み物なのんです。
ウーゾにまつわるあれこれをご紹介したいと思います。
目次
ギリシャは美味しいお酒の宝庫!
ギリシャ人のお酒の飲み方は、一人でまったり、というよりは家族や友人と楽しくグラスを傾けるという飲み方がポピュラーです。
そんなギリシャには個性的なお酒が多く、ワインにビール、ブランデーと種類も豊富です。
ギリシャでポピュラーなアルコールをいくつかご紹介しますね。
ワイン
ギリシャで最も消費されているのは、やはりワイン。
レストランやタベルナには多くの種類が置いてありますし、家庭でも日常的に食卓に上るお酒です。
地中海性気候はブドウの栽培に適しているため、原材料となるブドウは種類も豊富で高品質。
特に有名な産地は白ならサントリーニ島、赤ならマケドニア地方。
ペロポネソス地方は赤白どちらもありますね。
デザートワインも種類豊富です。
サモス島やサントリーニ島のものは特に人気がありますね。
国際的な評価も高く、数多くのワイナリーがオリジナルな味を発信しています。
ブランデー
ギリシャのブランデーと言えば、メタクサが有名ですよね。
原料となるワインを蒸留・熟成・ブレンドした後にハーブや薔薇の花びらなどと甘味料を加えて造られます。
極めて独特の風味で、他にはない味わいのブランデーと言えます。
世界60カ国以上に輸出されており、かのカストロ大統領もメタクサのファンだったとか。
国際的な蒸留酒コンテストでも数多くの賞を受賞しており、まさにグリーク・ブランデーの代表と言えますね。
ブランデーの消費は実はそんなに多くはありません。
ギリシャでは、ブランデーはどちらかというと上流階級の飲み物、という位置づけです。
ビール
近年ワインに負けない消費を続けているのがビールです。
青い海と白い外壁の美観を楽しみながら、ぐいっと一気にいきたいですよね。
大企業が造るものから小さなブルワリーのものまで、個性豊かなラインナップが楽しめます。
特に有名なのは「FIX」、「ALFA」、「MYTHOS」のビールです。
ギリシャにおけるビールのトップ3と言えるでしょう。
ツィプロ、マスティハ
これらはギリシャ特有のリキュールです。
ツィプロはイタリアのグラッパのように、ブドウの搾りカスを発酵させて造った蒸留酒です。
マスティハはマスティハという木の樹液を使用したリキュールです。
この木はヒオス島のみで自生しています。
樹液には様々な効能があり、健康・美容的にも良いとして人気が高まっていますが、これを利用したリキュールも注目されています。
ウーゾ
まさしくギリシャの国民的お酒と言えます。
ギリシャにはウーゾとそれに合う軽食が頂ける、「ウゼリ」と呼ばれるバーがポピュラーです。
ウーゾはアルコール度数40度の甘くて強いお酒ですが、ギリシャの人々は一日の終わりにこの「ウゼリ」に行き、ウーゾを飲んでまったりと楽しみます。
「ウゼリ」は至るところにありますから、ギリシャの人たちの憩いの場といえますね。
庶民のお酒の代表格。
ヘルシーな食事とギリシャ音楽、それに楽しい友人との会話にはこのウーゾは欠かすことはできません。
ウーゾってつまりどんなお酒?
ウーゾはギリシャ特有の飲み物ですが、その生産・消費ともほとんどがギリシャ国内とキプロスのみで行われています。
「ouzomakesspirits」という古いことわざもあるほどのギリシャ。
「神の酒」なんて言われることもありますね。
ギリシャを代表するお酒、ウーゾはどのようにして生まれ広まったのでしょうか。
ウーゾにはどんな歴史があるの?
ウーゾの原材料はつぶしたブドウやレーズン。
これを原料としたアルコール度数の高い蒸留酒から造られるので、ウーゾのベースはグレープ・ブランデーということができます。
このお酒の原型は「ツィプロ」や「ラキア」と呼ばれる蒸留酒で、東ローマ帝国時代にはすでに存在していたと言われています。
14世紀にギリシャのアトス山で「ツィプロ」を蒸留していた修道士が、これにアニスの香りを加えたことから始まったとか。
このアトス山の修道院、現在もウーゾを生産し続けています。
見学も可能なようで、修道院を訪れるとおもてなしとして頂けるのがこのウーゾ。
ウーゾとルクミというギリシャのお菓子の組み合わせが伝統的に振舞われるそうです。
行ってみたいと思われる方も多いと思いますが、こちらの山は女人禁制。
楽しめるのは男性のみということで、女性の方にとっては少し残念ですね。
現在、ウーゾの生産地として特に有名なのはレスボス島です。
19世紀のギリシャ独立以来、この周辺に数多くの蒸留所が造られました。
現在の標準的生産法である、銅製の蒸留器を使う製法もここから始まったと言われています。
島内のウーゾメーカーは多く、最高のウーゾと呼ばれるものもいくつか見られます。
現在、最も生産量の多いのは島南部の街「プロマリ」にある「バルバヤニス蒸留所」です。
ギリシャを代表するリキュールのウーゾですが産地呼称規制がかけられたのは2006年。
つい最近ですね。
これによってギリシャ国外の似たようなリキュールはウーゾと名乗ることは法律的に不可能になりました。
ウーゾってどんな味?
はまる人ははまると言われるウーゾ。
なかなかクセのある味わいで、ギリシャ人以外からの評価は分かれるところです。
まず特徴的なのが、その香りです。
歯磨き粉のよう、とも言われますね。
ウーゾに特有の香りのもとは、アニスやスターアニスなど、様々な香草。
他にもコリアンダー、クローブ、アンゼリカ、スペインカンゾウ、ミント、冬緑油、ウイキョウ、ハシバミ、シナモンライムの花…。
様々なハーブやベリーが加えられています。
その配合は生産者によって異なるので、味わいにも違いが出てきます。
ウーゾのおおまかな生産工程は同じですが、配合やハーブの選択など、細かい過程は門外不出の秘密。
生産者一族が伝えるウーゾのレシピは外部に公開されることはありません。
味わいの傾向としては、北部に行くほど辛口で、南部ほど甘口と言われています。
ギリシャに行く機会があれば、飲み比べてみるのも楽しそうですね。
ウーゾを飲んだら酔っぱらう?
一般的にウーゾは食事を食べながらワイワイと楽しむお酒です。
食前酒として好まれているようですね。
一日が終わる夕方に「ウゼロ」に立ち寄り、軽食をつまみながらウーゾをまったり楽しむ。
この飲み方が一番ポピュラーです。
ギリシャ人の間では、つまみもなくウーゾだけをすする、という飲み方は好まれていません。
気軽に飲むリキュールとして親しまれていますが、アルコール度数は40度。
結構高いですね。
しかしかなりの糖分が加えられているため、飲みにくさは感じません。
糖分がアルコールの吸収を遅らせるので、アルコール血中濃度が急上昇、なんてことにもなりにくいです。
いきなり酔っぱらったりはしませんが、調子にのって飲むとあとから来る、そんなお酒と言えますね。
ウーゾって色が変わるの?
ウーゾを初めて飲む人にとって、衝撃的なのは味と香りだけではありません。
ウーゾの見た目の変化も、ちょっとびっくりするかもしれません。
ウーゾ自体は完全に無色透明のクリアなカラーです。
しかしここに水や氷を入れると、とたんに乳白色に変わります。
これはウーゾに含まれているアニスのエッセンシャルオイルに由来する現象です。
オイルはお酒にはとけるのですが、水と油は混じりませんよね。
ですから、水を加えるとエッセンシャルオイルだけが残って、白濁してしまうのです。
この色の変化を楽しむのも、ウーゾを味わう際の醍醐味と言えるでしょう。
ウーゾってどうやって飲むのがおすすめ?
前述したとおり、ウーゾは軽食と共に頂くのがおすすめ。
そしてストレートよりは水を加えて飲むのが一般的です。
こんな感じです。
1.お気に入りのグラスに1ショット分かそれくらいのウーゾを注ぐ
2.ピッチャーに氷を加え、できる限り冷たくする
3.ウーゾの2倍くらいの氷水を注ぐ
4.ゆっくりと頂く
ギリシャ人は水以外のものは混ぜたりしないそうですが、最近のギリシャの若者の中にはソーダやレモン水などを混ぜたりする傾向があるそうです。
「ウゼロ」でお願いすれば、様々な楽しみ方を教えてもらえますよ。
ウーゾは飲むだけではありません!
ウーゾの楽しみ方はただ飲むだけではありません。
なんといってもギリシャ国民最愛の飲み物ですからね。
日々の食生活にもウーゾは重要な役割をはたしています。
それは料理。
ウーゾはアニス風味のお酒ですが、含まれているリコリスが強力なパンチある味わいを醸し出しています。
料理に加えれば、素材の味を引き立て、料理の印象を全く変えてしまうこともあるのです。
ギリシャでは味のポイントとしてあたりまえに使用されています。
使用の際注意することは、大量に使用しないこと。
料理に加える際は、カップからではなく、小さじや茶さじなどを使い、少しずつ様子を見るのがベストです。
おすすめの使いかたは以下の通り。
●フランベ料理
●貝のグリル、肉のマリネ
●ドレッシングに
●ウイキョウ、フェンネルシードなどが必要な料理に、代用として
クッキーなんかにも使用されるといいますから、まさしくどんなものにも使えますね。
料理でウーゾを使用すると、いつもと違った味わいが楽しめます。
もしギリシャレストランなどに行ったら、ウーゾが入っているかも!
とちょっと気にかけてみて下さいね。
おすすめのウーゾって?
国民的リキュールというだけあって、ギリシャには多くのウーゾがあります。
それぞれ味わいが異なり、美味しいか美味しくないかは本当に好みの問題ともいえるのですが、まずはギリシャで人気のあるブランドをいくつか見てみたいと思います。
Barbayanni
ギリシャで一番大きなウーゾメーカーです。
こちらのメーカーはほとんど国外では消費されないウーゾを海外へも輸出している数少ない会社です。
およそ150年前にレスボス島で事業を開始しました。
以来Barbayanni一族がウーゾの製造を継続。
その製法は頑なに保持され、現在も守り続けられています。
BarbayanniGREEN
1997年に、Barbayanniによって新しい味わいのウーゾが発売されました。
それがこちらのグリーンラベル。
ウーゾのアロマの香りとまったりした甘さはそのままに、飲み口をよりライトに改良。
ラボス島のプロマリから特別な水を使用して造られています。
誰にでもおすすめできる飲みやすい逸品です。
アルコール度数は42%。
Barbayanni APHRODITE
ボトルにはギリシャ神話の戦の女神アフロディーテが描かれています。
1962年より発売されています。
一族が伝える製法に則った、クラシックなタイプのウーゾで、まったりとした味わいが愛されています。
アルコール度数は48%です。
ouzo12
1880年、イスタンブールで誕生したメーカーです。
1990年よりカンパリグループに買収されました。
名前の由来はkaloyannis蒸留所時代の「バレル12」から来ています。
こちらの蒸留所では12番目の樽から常に最高のウーゾが製造されたそうです。
ouzo12
メーカー名と同じ名前のボトルです。
二度蒸留され、10種類以上のハーブやスパイスがブレンドされています。
ギリシャで最も消費され、ポピュラーなウーゾと言えます。
ウーゾを飲んだことがない初心者向け。
飲みやすく、ウーゾの入門編としてはもってこいですね。
ギリシャ国外へも輸出され、人気を博しています。
日本でもネットで購入可能ですので、興味を持った方はぜひこの「ouzo12」からトライすることをおすすめします。
Thomopoulos & Son
レボス島の小さなメーカーです。
ローカルながら人気があります。
Sans Rival Ouzo
コリント産のブドウとアニス、フェンネルが香ります。
口に含むとフェンネル、バタースコッチの甘さが広がります。
まったりとした濃厚な味わいが楽しめます。
まとめ
グレープ・ブランデーベースとは言え、ハーブやスパイス、多量の糖分が入ると、一体どんな味わいなのでしょうか。
はまる人ははまるといいますが、自分はどちら側なのか気になりますね。
マティーニやドライベルベットといったカクテルがお好きな方は、大ファンになる確率が高いですよ。
多くはないですが、日本でも入手は可能です。
いつものブランデーに変えて、夕食のアペリティフとして楽しんでみてはいかがでしょうか。