北極圏の蒸留所!白夜の蒸留所から生み出されるウイスキーに世界が注目!
世界5大ウイスキーと言われるのはスコットランド、アイルランド、カナダ、アメリカ、日本のもの。
しかしウイスキー人気が高まる現在、世界各地で新興の蒸留所が設立されています。
今回見てみたいのは北欧・フィンランドの蒸留所。
フィンランドにはいくつかの蒸留所が誕生していますが、その中でも注目を集めているのは「キュロ蒸留所」です。
北極圏にあり、7~8月は白夜になるそうですこの場所で5人の若者が始めた蒸留所のウイスキーはどんなものなのでしょうか。
目次
フィンランドのアルコール事情とは
フィンランドは世界的にも有名なライ麦の産地です。
ライ麦から作るライ麦パンはフィンランドの国民食ともいえるもの。
そのライ麦を使用したジンは「フィンランド・ジン」と呼ばれ、世界的にも高い評価を受けています。
しかし、庶民に人気なのはやはりビール。
その他に、フィンランドではウォッカを含めたアルコール度数30~40%の蒸留酒は全て「Viina(ヴィーナ)」と呼ばれるものも人気です。
老舗のフィンランドメーカーが数多くあり、豊富なフレーバーから好みのものを選ぶことが出来ます。
代表的なのは「コスケンコルヴァ(Koskenkorva)」や「スオミ(Suomi)」、「レイヨナ・ヴィーナ((Leijona Viina))などです。
プレーンタイプのヴィーナも人気なのですが、飲みやすくておすすめなのはベリーやバニラ、ペパーミントの味が添加されているタイプ。
どれもアルコール度数は高いですが、量をわきまえれば楽しめる味わいです。
フィンランドの人はお酒に強く、ウォッカは基本ストレートという人が多いそうです。
そんなフィンランド人が最も多く飲む蒸留酒はやはりウォッカ。
ロシアと近いこともあり、国民一人当たりの蒸留酒消費量の中では断トツだそうです。
しかし、首都ヘルシンキで「ウイスキーフェスティバル」が開かれているということを見ても、ウイスキーの人気が高まっていることは間違いありません。
新進気鋭の蒸留所!キュロ蒸留所(Kyrö Distillery Company)
ライ麦パンが主食のフィンランド人にとってライ麦はとてもなじみ深いもの。
このライ麦を使用したジンを作り始め、いきなり世界の注目を集めたのが「キュロ蒸留所」です。
2012年にフィンランド中西部の片田舎・ポフヤンマー県イソキュロ(Isokyrö)にて設立されました。
イソキュロ(Isokyrö)ってどんなところ?
イソキュロはフィンランドの中西部ポフヤンマー県にあります。
人口はわずか4691人。
人口密度は1㎢あたり13.25人といいますからかなりのどかなところです。
中世時代には大きな自治体の行政中心地として栄えていました。
この地域はフィンランドの有名な叙情詩「カレバラ」に出てくる「ポヒョーラ(北)」のモデルになったと言われています。
この地域の主要な観光スポットの一つは1304年に建てられた巨大な灰色の石教会です。
また、この地域の「ナプエ(napue)」は「グレートノーザンウォー」と呼ばれるロシア軍との戦いの最後の戦地としても知られています。
この地で1500人のロシア兵士と3000人のフィンランド兵士が命を落としました。
現在は戦いを記した記念碑が残っています。
イソキュロは歴史的・文化的にも重要な地域なのです。
キュロ蒸留所の始まりは…
キュロ蒸留所を立ち上げたのは5人の若者です。
彼らはこのアイディアをサウナの中で思いつき、話し合ったといいますからフィンランドらしいですね。
彼らはなぜフィンランドにはライ・ウイスキーが無いのかということについて話し合っていたそうです。
フィンランドは世界平均の6倍もライ麦を消費する国です。
ライ麦パンは国民食ですし、質の高いライ麦が豊富にあります。
しかし、ウイスキーはなかったのです。
このサウナでの討論がきっかけとなりアイディアがひろがっていきました。
そして彼らは「イソキュラ」に古い酪農工場を発見しました。
この工場は1908年に作られて放棄され、最近まで使われていなかったもの。
彼らはそれを手に入れたのです。
初めての蒸留は2014年!
本格的な蒸留は会社設立より2年後のことでした。
つまり、2014年です。
フィンランドの法律でウイスキーは最低でも3年の熟成期間をとらねばなりません。
ですから彼らの最初のウイスキーはまだ誕生したばかりなのです。
キュロ蒸留所のこだわりは…
フィンランドの優れたライ麦についての話し合いから始まったキュロ蒸留所。
そんな彼らのこだわりはやはりライ麦。
彼らの製造するスピリッツは全てライ麦を原材料としています。
彼らの造るウイスキーはフィンランド産ライ麦を100%使用した「ライ・ウイスキー」なのです。
ライ麦の蒸留はとても難しいと言われています。
しかし、スパイス・フレーバーやアーシー・フレーバーといった、個性的な味わいを持たせることが出来るのが魅力です。
また、ウイスキーの命ともいえる水は近くの川から確保。
蒸留所初となるフィンランド・ライ・ウイスキーには注目が集まっています。
また、キュロ蒸留所の製品で目につくのはそのスタイリッシュさ。
若者らしいセンスで、細部にまでこだわりが見られます。
ボトル、ロゴ、包装デザインなどは全てデザイン会社「Werklig」に依頼。
統一感のあるオシャレな佇まいがフレッシュな魅力をアピールしています。
キュロ蒸留所の「フィンランド・ジン」が大好評!
現在キュロ蒸留所の主力は「ジン」です。
熟成期間を3年もとらなくてよいジンは、発売されるやいなや高い評価を受けました。
2015年からは連続で国際的なコンペティションで賞を受けています。
この受賞をきっかけにフィンランド・ジンが広まり、世界中から注目を集めるようになったのです。
現在キュロ蒸留所に続けとばかりにフィンランド国内では蒸留所が続々とオープンしています。
キュロ蒸留所がフィンランド・ジンの流行の先駆けとなったのです。
キュロナプエ(Kyrö Napue)
2015年に「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」にて「世界最高のジン」と評され、2016年には「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」においてゴールドメダルを受賞しました。
原材料にはフィンランド産ライ麦を100%使用。
フレーバーには12種類のドライボタニカルと4種類のフレッシュボタニカルを使用しています。
フィンランドならではのボタニカルが、個性豊かでバランスの良い味わいを作り上げています。
また、ベースに用いたライ・スピリッツの個性が際立ち、他のジンにはないフレーバーとオリジナリティを醸し出しているのです。
北欧の厳しい自然環境の中、短い夏に芽生える生命力の強さを具現化しているジンと言えることが出来るのではないでしょうか。
ジュリニューメイク(Juuri New Make)
キュロ蒸留所初の北欧産シングルモルト・ライ・ウイスキーです。
アルコール度数は46.3%。
名前となっている「ジュリ(Juuri)」とは「根本」または「根源」を意味しています。
カクテルベースとして使用したり、シュナップスとして冷やしたりして頂くのがおすすめ。
カラーは無色透明。
新鮮な甘さとスパイシーなライ麦が香ります。
口に含むと、甘草が静かに口内に広がり、やがてスパイシーさを感じます。
ちょっと刺激的な舌触りでドライな風味。
フィンランド伝統のライ麦パンを思い起こさせます。
まとめ
5人の若者によってスタートした「キュロ蒸留所」。
彼らの造るフィンランド・ウイスキーに世界が注目しています。
蒸留所のある「イソキュラ」はフィンランドの歴史を感じさせるゆったりした地域です。
蒸留所内には美味しいフィンランド料理を味わえるレストランもあり、蒸留所ツアーも可能。
観光として訪れるのもおすすめです。
フィンランドの自然と美味しいウイスキーに興味を持ったら、出かけてみて下さいね、