アメリカのニッチなブランデー!クリアクリーク蒸留所のおすすめ。
アメリカと言えばワインやバーボンというイメージがありますよね。
ブランデーファンの方はあまり目を向けない地域かもしれません。
しかし、アメリカにもヨーロッパスタイルで美味しいブランデーを作っている蒸留所があります。
それもグレープではなく、ナシやチェリー。
アメリカでも珍しい、ヨーロッパスタイルのフルーツブランデーを作るクリアクリーク蒸留所を見てみたいと思います。
目次
アメリカではブランデーってどうなの?
アメリカは広く、東部と西部、北部と南部では全く気候が異なります。
ですから「アメリカでは」とひとくくりにすることは全く不可能。
それぞれに特色があり、生産物も異なります。
しかしブランデーはワインを蒸留して作られるものですから、ワインの名産地と言われるところでブランデーの製造も行われていることが多いです。
アメリカのワインの名産地と言えばやはりカリフォルニア。
州内に2000近いワイナリーがあり、アメリカ全体のワインの生産量のおよそ90%がこの地域で生産されています。
この地域ではワインに合わせてオリジナルのブランデーを販売しているところがあります。
しかし、ワインに比べるとそれほどの人気はありません。
アメリカ全体を見ると、ワイン以外に人気のあるアルコールはやはりビール。
それからバーボンなどのウイスキー類です。
特にウイスキーの人気は年々高まっており、全国各地に小さなクラフト蒸留所が創設されています。
ブランデーは他のアルコール類に比べると支持層が狭いと言えます。
アメリカのブランデーはブドウよりも…リンゴ?
ブランデーの中で有名なものは大抵「グレープブランデー」。
つまりブドウを原材料としたものです。
ブランデーの中でもとりわけ人気のある「コニャック」や「アルマニャック」は限定された地域のブドウのみを使用したブランデーです。
アメリカでもグレープブランデーは人気ですが、建国以来のアメリカの定番といえば「アップルブランデー」です。
「アップルジャック」とよばれ、親しまれていたブランデーはブドウが栽培できない地域でも楽しまれていました。
今でも独立記念日の伝統的な場所では供されることがあるそうです。
カナダと国境を接する町:ポートランドのクリアクリーク蒸留所(Clear Creek Distillery
ブドウ園がどこまでも広がるカリフォルニアから北へ向かうと、オレゴン州ポートランドがあります。
アメリカ太平洋岸北西部では3番目に人口が多いにも関わらず「全米で安全な都市」第3位に選ばれています。
そんなポートランドにグレープブランデーではないブランデーをメインに販売している蒸留所があります。
「クリアクリーク蒸留所」です。
どんな蒸留所なのでしょうか。
蒸留所があるのはどんなところ?
蒸留所はオレゴン州ポートランドにあります。
ここは気候も温暖で住みやすく、環境に優しい街として知られています。
特に環境への配慮についてはすばらしく、その評価は全米で第1位とされています。
世界レベルで見てもアイスランドのレイキャビクに次ぐ第2位といいますから、かなりのものです。
さらにポートランド周辺はビールの蒸留所が多いことでも知られています。
市内だけでその数は28か所。
全米で最もたくさんのビール醸造所が存在しています。
地域には質の高い大麦やホップ、ブルラン分水嶺からの素晴らしい水など、ビール作りにピッタリの環境なのです。
ビール醸造所の他にウイスキーの醸造所、ワイナリーもあります。
クリアクリーク蒸留所の始まりは…
クリアクリーク蒸留所の創設は1985年。
創設者は「スティーブン・マッカーシー」氏です。
パシフィックノースウエストの質の高い果実を使用して、ヨーロッパ産のフルーツブランデーに負けないブランデーを作りたいというビジョンから始まりました。
伝統的な技術を守り、オレゴン州の果樹園の材料を使い、フッド山の淡水の泉から水を確保してブランデー造りを行ったのです。
クリアクリーク蒸留所は、現在あちこちで見られるクラフト蒸留所の先駆け的な存在だったのです。
小さな蒸留所であるがゆえに、消費者に直接製品を届けることができます。
いわゆる「orchardtoglass」が可能なのです。
クリアクリーク蒸留所のフルーツブランデーやリキュールは伝統的な銅製のポットスチルで蒸留されています。
地元で栽培された味わい深いフルーツを使い、丁寧に作られたフルーツスピリッツ本来の味わいが楽しめるのです。
クリアクリーク蒸留所のこだわりとは…
クリアクリーク蒸留所ではパシフィックノースウエストワインを蒸留してブランデー原酒を造っています。
その製法はクラシックなヨーロッパスタイル。
ヨーロッパスタイルのフルーツブランデーの蒸留所は珍しく、ニッチな層から熱い支持を集めています。
創業当時、蒸留所のマスターはスイスやアルザスで技術を学び、伝統的なヨーロッパのポットスチルと共に持ち帰ってきました。
そしてまずナシからブランデーを作ったのです。
そんなクリアクリークで造られたブランデーには特有の香りがあります。
これは完全に熟した果実を慎重に発酵させ、蒸留した結果であり、太平洋岸北西部の果実だけがもつものです。
クリアクリーク蒸留所では7つの生産ラインを使い、最高の果物を使用し伝統的製法を守り続けているのです。
クリアクリーク蒸留所はどんな果実を使用する?
クリアクリーク蒸留所の創設者であるスティーブン・マッカーシー氏はまず、当時オレゴン州で広く栽培されていた「バートレットナシ」や「ウイリアムズナシ」を使用してブランデーを作りました。
このナシのブランデーが現在もクリアクリーク蒸留所のフラッグシップともいえる存在です。
また、ボトルの中にナシが丸ごとはいったボトルも大人気です。
その他にもリンゴブランデーの原材料となるゴールデンデリシャスやベリーブランデーの原材料となるフランボワーズ、プラムブランデーの原材料となるミラベルプラムも栽培されています。
Pear BrandyClear Creek(ナシブランデー)
ヨーロッパで造られているフルーツブランデーは通常エイジングを行いません。
通常80プルーフでボトリングされ、そのまま食卓へと並びます。
エイジングを行わないため、果実が持つ本来の味わいの深さや強さを感じることが出来るのです。
クリアクリーク蒸留所のブランデーもこのように作られています。
フルーツブランデーの製法はフランス伝統の「オードヴィ」の製法と同じ。
1時間前にもいだばかりのバートレットナシを一番熟したところで粉砕します。
慎重に発酵を行い、銅製のポットスチルで蒸留。
750mlボトルを1本つくるのに20ポンドもの梨を使用します。
カラーはクリアで美しい透明。
強いナシの香りを感じます。
味は強くてピュアそのもの。
後にも長く梨が残ります。
冷やしていただくのがおすすめです。
2000年と2013年に「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」においてダブルゴールドメダルを獲得しました。
Cherry Brandy (Kirschwasser) Clear Creek(チェリーブランデー(キルシュヴァッサー)
新鮮なオレゴンとワシントン産のチェリーを使用したブランデーです。
深みのある甘いダークチェリーを使用。
クリアなカラーは美しく、飲み始めから終わりまでさわやかなチェリーの味わいがしっかりと楽しめます。
ほんの少しバニラ、アーモンドを感じます。
女性にもおすすめのさわやかさです。
まとめ
アメリカでもビールの本場として知られるポートランド。
そんな場所にヨーロピアンスタイルのフルーツブランデーを作る蒸留所があるのも不思議ですね。
一般的に広く知られているというわけではありませんが、フルーツブランデーがお好きな方ならきっとはまってしまうでしょう。
グレープブランデー以外のものをお探しの方や、女性でも気軽に飲めるブランデーをお探しの方におすすめです。