ウイスキーの起源と歴史って?ウイスキーが誕生する頃のお話しと、5大ウイスキーの歴史と特徴
皆さんは、世界5大ウイスキーを知っていますか?
世界には様々なウイスキーが存在しますが、その中でも品質が優れているものを世界の5大ウイスキーと呼んでいます。
私たち日本のウイスキーも、その5大ウイスキーのひとつです。
そもそもウイスキーがどのようにしてこの世に生まれてきたのか、そしてどのように世界各地へ広がって、世界5大ウイスキーと呼ばれるものに発展していったのか、探ってみたいと思います。
目次
ウイスキーの起源
ウイスキーの起源については、いくつかの説があり、いつ、どこでどのようにつくられたのか、明確には分かっていないことが多いようですが、ここで少しまとめてみたいと思います。
ウスケボー説
ウイスキーという言葉が文献に始めて登場するのは、1171年のことです。
イギリス国王であるヘンリー2世がアイルランドに侵攻しました。
その時の記録を見ると、住民が「ウスケボー」というお酒を飲んでいたと記されています。
現在では、この「ウスケボー」が、「ウイスキー」の語源となったという説が有力となっています。
しかし、蒸留酒は、実際にはそれ以前から製造されていたと考えられています。
蒸溜技術を開発したのは、錬金術師でした。
古代から中世にかけて研究された錬金術は、鉄や鉛などを金に変える技術なのですが、その工程で蒸留技術も発見されたのでしょうか。
錬金術師とウイスキーなんて、全く異質なもののような気がするのですが、不思議な歴史ですね。
そして、そのときに開発された蒸留酒は、その後キリスト教の修道士らによって製造されていったようです。
そして、その蒸溜技術が、修道士らの手によってアイルランドに伝わったとされています。
ウシュクベーハー説
もうひとつの説としては、スペインの錬金術師アルノーが、12世紀ごろに始めてワインを作りました。
このときに生まれたワインを「アクアヴィテ」と呼び、この「アクアヴィテ」がゲール語の「ウシュクベーハー」と訳され、ウイスキーの語源となったという説もあります。
ちなみに、アクアヴィテとは、ラテン語で生命の水という意味、ウシュクベーハーとは、ゲール語で、やはり生命の水という意味を持ちます。
ゲール族というのは、古代ケルト民族の中で、アイルランドからスコットランドへ移り住んだ人たちを指します。
このように、アイルランドがウイスキー発祥の地という説が有力で、ゲール族の移住により、蒸留技術も広まっていったのではないかと言われています。
ただし、現在のウイスキー作りには欠かせない、樽で熟成させるという工程は、当時のウイスキーづくりにはなかったそうです。
世界5大ウイスキー
先程も説明したとおり、樽で熟成させるという工程は、ウイスキーには欠かせないものです。
バーボンウイスキーの製造過程では、ホワイトオークの新樽を使わなければならないというふうに決まっています。
そして、バーボンウイスキーで使用されたその樽は、その後は他の国のウイスキー作りに使われます。
新樽で作られたバーボンは、木の香りが強く出てしまうのですが、その後、他の国に渡った使用済みの樽は使えば使い込むほど、木の香りがまろやかになり、それらの樽で作られたウイスキーは、複雑で上品な香りになるそうです。
このように、バーボンウイスキーに使われた新しいホワイトオークの樽は、その後何年もかけて様々な国を旅することになります。
このような旅をした樽から作られたウイスキーは、それぞれの土地の気候や水などと相まって、様々な特徴を持ったウイスキーとなります。
世界を巡るホワイトオークの樽を想像してみると、なんだかワクワクするような、ロマンチックな旅ですね。
ウイスキーの五大産地と言われるところは、スコッチウイスキーができるスコットランド、アイリッシュウイスキーのアイルランド、バーボンやテネシーなどのアメリカンウイスキーが作られるアメリカ、カナディアンウイスキーのカナダ、そして私たちにとって最も身近なジャパニーズウイスキーが作られる日本、の5か国です。
さて、それではこの世界5大ウイスキーについて見ていき、それぞれの歴史や特徴について考えてみたいと思います。
スコットランド スコッチウイスキー
スコッチウイスキーは、初めは薬として扱われていたそうです。
この頃にウイスキーが製造をおこなっていたのは、スコットランドの修道院でした。
その後宗教改革が16世紀に起きると、それをきっかけに修道院が解散し、ウイスキーが一般にも浸透していくようになりました。
その後、スコットランドではウイスキーに対して課税されるようになります。
それを機に、いわゆる密造時代へと突入していくのです。
密造酒の売買では、買い手がつくまでの間、ウイスキーを樽の中に入れて保管したのですが、その結果、偶然にも樽と時間がウイスキーを熟成させることが分かりました。
ウイスキーはそれまで無色透明だったのですが、熟成させることで、色と香りが加わりました。
そしてもうひとつ、忘れてはならないのが泥炭、つまりピートです。
これは、大麦麦芽を乾燥させるための燃料として偶然に使われたのですが、このピートがスコッチウイスキーを象徴するスモーキーフレーバーを生み出すことになったのです。
様々な偶然が重なって、今のようなスコッチウイスキーが出来てきたのですね。
アイルランド アイリッシュウイスキー
12世紀当時にアイルランドで飲まれていた蒸留酒は、ビールを蒸留した濁り酒というようなものだったそうです。
この濁り酒は、発酵させる段階で蜂蜜や果物、ハーブなどを入れて香りをつけたもので、アルコール度数は現在のウイスキーに比較すると低く、約20度だったとのこと。
そして、アイリッシュウイスキーの魅力は、なんと言っても、その癖のなさであると言われています。
これは、アイリッシュウイスキーが3回も蒸留されて作られているからなのです。
その3回の蒸留を経て、飲みやすく癖のないウイスキーに仕上がるのです。
このように癖がないため、ウイスキーのストレートを初めて試してみる、という人にもおすすめできると思います。
バーボンなどのアメリカンウイスキー
コロンブスが1492年、アメリカ大陸に到達して以降、ヨーロッパ諸国からアメリカ大陸への人々の移住が始まりました。
その中にはアイルランドやスコットランドからの移民もいたため、その人たちがアメリ大陸でウイスキー造りが始めたと言われています。
なんと、当時の蒸溜所では魚や酢の保存に使用した樽にウイスキーを詰めていたのだとか。
想像したとおり、その匂いが樽に移ったままですので、なんとも言えない香りのウイスキーが出来上がっていたことでしょう。
けれど、試行錯誤を重ねる中で、樽を焼くことによって嫌な臭いが消えることが分かりました。
こうして、バーボンウイスキーには、焼いた樽が使われるようになったのです。
そして、バーボンは、焼かれた新品のオークの樽を使うことによって、その独特の香りが特徴となっていると言えます。
カナディアンウイスキー カナダ
カナダと言えばビール造りが有名なのですが、17世紀後半になると、ビールの醸造所にウイスキーの蒸留所を併設し、そこでウイスキー作りが始まったと言われています。
その後、イギリス系の農民がカナダに移り住むようになると、ライ麦や小麦などの穀物が作られるようになりました。
そして、その技術が発展するにつれ、穀物が大量に余ることになっていきます。
この余った穀物を使ってウイスキーを作ることがブームとなりました。
その後、1920年代になるとアメリカで禁酒法が始まります。
ウイスキーを手に入れることができなくなったアメリカの密造業者が、カナダに集まりました。
当時のカナダでは驚くほど大量のウイスキーが作られ、アメリカのウイスキー庫とまで呼ばれていたのです。
カナディアンウイスキーの特徴は、癖がなく軽いことで、5大ウイスキーの中でも、最も軽いと言われています。
アイリッシュウイスキーも癖がないことが特徴ですが、カナディアンウイスキーはさらに癖がなく、まろやかです。
ジャパニーズウイスキー 日本
外国から輸入されたウイスキーはそれまでにもありましたが、日本で作られた本格的なウイスキーは、マッサンのモデルとなった竹鶴政孝がスコットランドに渡り、グラスゴー大学で蒸溜技術を学んだところから始まりました。
そして、竹鶴はその蒸留技術を日本に持ち帰ります。
サントリーの創業者である鳥井信治郎は、竹鶴政孝に手を組もうと誘います。
そして試行錯誤のうえ、大阪府の山崎にサントリー山崎蒸溜所が建設されました。
日本初の蒸留所です。
このように、ジャパニーズウイスキーは、竹鶴がスコッチウイスキーを手本につくったのですが、日本人の好みに合わせて、スモーキーフレーバーは控えめに作られました。
その後も様々な工夫がなされ、ジャパニーズウイスキーは一流と言われるようになったのです。
ジャパニーズウイスキーは、同じ蒸留所から作られたウイスキーでも、それぞれ様々な工夫が凝らされている、ひとつひとつ個性のある銘柄が多数あり、どれもこれも魅力的です。
それもまた、ジャパニーズウイスキーの特徴となっています。
まとめ
さて、ウイスキーの起源と5大ウイスキーの歴史と特徴についてまとめてみました。
ウイスキーがこの世に誕生し、様々な経緯を経て、世界各地でウイスキーが作られるようになりました。
新しい樽がアメリカで使用され、その樽が世界各地を旅しながら、その土地の気候が相まって、魅力あるウイスキーが出来ていきます。
その各地のウイスキーを味わいながら、私たちも日本にいながら、世界を旅することが出来るような気がしませんか。