バーボンはビンで保存しても価値は上がらない!
バーボンウイスキー(以下、バーボン)と言えば、アメリカンウイスキーの代表です。
ウイスキー愛好者の中で、高価なウイスキーをビンで保管して価値が上がるのを望む方もいるはずです。
数十年たったウイスキーを飲むのが夢と言う方もいます。
しかし、バーボンを含めウイスキーはビンで保存した状態では価値が上がりません。
今回は、その理由を説明します。
価値が上がるのはワイン!
さて、バーボンを含めお酒の価値が上がるといった認識を与えているのは、ワインが起因しています。
ワインは果実酒であり、熟成樽やワイン自体にアルコール発酵を促す微生物が存在します。
そのため、ワインは熟成期間が長いほど価値が上がり、味も変化します。
特にワインの価値が上がるのは、原料となるブドウの出来栄えや醸造量も影響します。
一般的にワインの価値が上がるのは、ブドウの出来が良く、熟成期間の長いものです。
しかし、近年では第二次世界大戦中のワインが高値になったりします。
その理由は、戦時下に於いて人手が不足していたため、ブドウの出来が良くても十分にワインを製造することが出来なかったため、希少価値が高くなります。
さて、ワインの様にバーボンなどのウイスキー類やブランデーが高値にならない理由は何故か気になると思います。
バーボンやブランデーが高くならない理由
ズバリ、バーボンやブランデーの価値が高くならない理由は、製造方法に理由があります。
それは、バーボンやブランデーが蒸溜酒であることです。
蒸留酒は、原料をアルコール発酵させ、加熱および冷却によりアルコール濃度を高めます。
特にバーボンに使用されるアルコールはトウモロコシやライ麦などの穀物が原料であり、蒸溜工程においてアルコール発酵を促す発酵菌が死滅してしまいます。
ブランデーも同様です。
ブランデーの場合も蒸溜を繰り返すことにより、アルコール度数が高まります。
バーボンの違いは原料がワインであることだけです。
原料が高いだけであり、その後の価格に変動は生じません。
しかし、バーボンの場合、熟成工程において価値が高まります。
バーボンの価値が上がる場合は?
何故、熟成工程においてバーボンの価値が高まるか疑問に思うかと思います。
バーボンは、熟成樽で保管される際にアルコール発酵が促進する訳ではありません。
熟成段階では新品のオーク樽を焼き焦がし、樽に含まれるポリフェノールや風味をアルコールに移行させます。
この期間を8年経過したものがスタンダードなバーボンとなります。
しかし、この期間を長くすることでバーボンの価値が高まります。
これはウイスキー全般に言えることであり、長期間熟成することで樽内に残存するアルコールの総量が大幅に減少するということが起因しています。
長期間熟成すればするほど、液体として残るアルコールは少なくなり、価値がどんどん高まります。
しかし、ビン詰めされた時点でバーボンの熟成は止まり、それ以降に味や風味の変化が生じなくなります。
こんな長期保管品はダメ
よく、インターネットショップやオークションで19○○年製造のバーボンなど販売や出品がされています。
しかし、バーボンは熟成が進まないため、高額な値段になっているものは購入しないことをおすすめします。
また、バーボンなどのビンは透明なものが使用されており、紫外線の影響を受けやすい問題があります。
バーボンの風味や特徴はアルコールに含まれるポリフェノールが由来しており、紫外線や光に弱いといった問題があります。
そのため、もし購入するのであれば透明瓶ではなく、茶褐色または黒色ビンのバーボンをおすすめします。
基本的に紫外線の影響を受けにくいため、ポリフェノールが酸化しないメリットがあります。
まとめ
筆者自身、学生時代にウイスキーの熟成管理やポリフェノールの研究をテーマにしていました。
そのため、担当の教授からはバーボンやウイスキー、そしてワインは透明ビンのものは味が落ちると教わりました。
そして、今回の説明したお酒の価値についても、教わることが出来ました。
中でも一番おすすめできないのが、日本酒の長期保管です。
日本酒の場合、長期保管すると酢になる可能性があるのでご注意ください。