今熱いアイリッシュウイスキーとは? その歴史や特徴と、おすすめの銘柄4選
アイリッシュウイスキーと聞いて、皆さんはどんな印象を受けるでしょうか。
スコッチウイスキーの方が身近で、こだわりのウイスキーといった印象で、もしかしたら、アイリッシュウイスキーという言葉自体、初めて聞く人もいるかもしれません。
ところが、アイリッシュウイスキーは、その歴史も古く、スコッチウイスキーと同じか、それ以上古くからあるウイスキーかもしれないのです。
目次
アイリッシュウイスキーとは
アイリッシュウイスキーは、スコットランドのとなりのアイルランド共和国および北アイルランドで生産されるウイスキーを指します。
これは、穀物を原料とするウイスキーです。
アイルランドの気候は、年間の気温差が小さく、程よい湿度があって冷涼であるため、ウイスキーの製造に適していると言われています。
アイリッシュウイスキーは、スコッチウイスキーと比較すると、銘柄数が少なく、あまり聞き馴染みがないかもしれません。
アイリッシュウイスキーの歴史
しかし、五大ウイスキーの中では最も歴史が長く、アイルランドは一説によるとウイスキー生誕の地とも言われています。
ただし、今の段階ではアイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーのどちらがより歴史が古いのか、どちらが世界初のウイスキーなのかという議論には、決着がついていないようです。
アイリッシュウイスキーの蒸溜所
このように、アイルランドはウイスキーに関する最古の記録が残っている土地でもあり、そのため、かつてはたくさんの蒸留所があったのですが、それらの蒸溜所も統合されたりした結果、4箇所のみになってしまったこともありました。
その4箇所とは、ミドルトン蒸留所、ブッシュミルズ蒸留所、クーリー蒸留所、キルベガン蒸留所です。
蒸溜所が減ってしまったのは、20世紀初めの頃からで、イギリスからの独立や内戦などの社会的な背景もありました。
今熱いアイリッシュウイスキー
このような歴史もあり、アイリッシュウイスキーは長年あまり注目されていないという状態にありましたが、近年では再び盛り上がりを見せ、今おすすめのウイスキーでもあります。
その事実は、数字にも表れていて、かつては、4箇所までに減ってしまった蒸溜所が、ここ3〜4年の間に次々と新しい蒸留所ができて、現在ではなんと40箇所にもなっているのです。
単純に計算しても、衰退期の約10倍の蒸溜所が存在していることになります。
このように、今まさに今盛り上がりを見せているアイリッシュウイスキーについて、その定義や特徴などをおさらいし、改めてアイリッシュウイスキーの魅力についてまとめてみたいと思います。
アイリッシュウイスキーの魅力
アイリッシュウイスキーのアルコール度数は約86度と、スコッチウイスキーと比較すると、高くなっています。
蒸留液に水を加えてからオーク樽に入れます。
その後、5年から8年かけて熟成させていきます。
樽はシェリー、ラム、バーボンの熟成に使われた古樽を使用しています。
そして、3回使用された樽は廃棄されるということです。
アイリッシュウイスキーの味わいは、ややスコッチウイスキーに似ているのですが、スコッチウイスキーと比べると、スッキリしていて飲みやすいと言われます。
アイリッシュウイスキーとピート
モルトの過程でピートが使用されないことが、多くのアイリッシュ・ウイスキーに共通する特徴と言えます。
このため、全体的にクセが少なく、初心者にも飲みやすいものが多いようです。
味わいの特徴としては、穀物の豊かな香りを感じさせ、軽やかですっきりとしている印象です。
まとめますと、アイリッシュ・ウイスキーは蒸留回数が多いために滑らかな味わいに仕上がり、ピートが焚かれないために原料の穀物が持つ芳醇な香りが引き出されているということになります。
温かいコーヒーとあわせた「アイリッシュ・コーヒー」というカクテルも有名です。
シングルポットスティルウイスキー
アイリッシュウイスキーは大別して4種類の形態に分かれています。
シングルポットスティルウイスキー、モルトウイスキー、ブレンデッドウイスキー、グレーンウイスキーの4種類となります。
この4種類のウイスキーの中で、アイリッシュウイスキーだけに見られるのが、シングルポットスティルウイスキーです。
かつては、ピュアポットスティルと呼ばれていました。
麦芽(モルト)にした大麦と、発酵前の大麦などを組み合わせたウイスキーを指します。
2011年以降に、シングルポットスティルと呼ばれるようになりました。
アイリッシュウイスキーだけに見られるのが、このピュアポットスティルウイスキーです。
モルト(大麦麦芽)以外の安価な穀物を主原料にして、そこに大麦麦芽で糖化します。
その後、単式蒸留器 、つまりポットスティルで3回蒸留して造られます。
伝統的な造り方なのですが、現在このシングルポットスティルウイスキーを生産している蒸留所は、 「新ミドルトン蒸留所」 の1箇所だけとなっています。
100%の大麦を使いながら、生の大麦とモルトしたものとを両方使用するのが特徴です。
生の大麦を使うことで、ウイスキーがピリッとした味わいとなり、これがアイリッシュウイスキーの独自の特徴や味わいに繋がっています。
蒸留所の職人たちは、ピュアポットスティルウイスキーに強い愛着を持っているということです。
蒸留は3回
製造の過程で蒸留が3回行われる理由については、原料にライ麦などの穀物を使っていることで、穀物のフレーバー(香り)が強くなってしまうということがあります。
そこで、蒸留の回数を増やして穀物のフレーバーを弱くするのだと考えられています。
また、生産性を高めるために巨大なポットスティル(蒸留機)が使われることも特徴のひとつです。
それでは、アイリッシュウイスキーのおすすめの銘柄を4つ紹介したいと思います。
タラモアデュー
アイリッシュウイスキーの特徴であるまろやかで純粋な味わいを楽しむことができるウイスキーです。
バーボン樽とシェリー樽を使用して12年から15年熟成させています。
口に含むと、しっかりとしたボディに、ほのかなシェリーの甘みを感じることができます。
豊かな心地よい余韻を、長く楽しむことが出来ます。
ロックやストレートで飲むのがおすすめです。
ジェムソンスタンダード
ピートを使わずに、じっくり乾燥させた大麦を原料として、蒸留を3回繰り返すことによって造られる豊かな香味とスムーズな味わいが特徴のウイスキーです。
香ばしく、まろやかな香りで、微かなシェリー香を感じることもできます。
ナッツや、ウッディな風味を伴う、スムーズな味わいが特徴です。
ブッシュミルズ ブラックブッシュ
1608年創業とも言われるブッシュミルズ蒸溜所は、現在操業中のアイリッシュウイスキーの蒸溜所の中では最古の歴史を誇る蒸溜所です。
アイリッシュウイスキーの伝統である3回蒸溜を守りながら、アイリッシュウイスキーで一般的に使用される未発芽の麦は使用しておらず、ノンピート麦芽100%のモルト原酒にこだわっています。
カネマラ
クーリー蒸溜所で作られるシングルモルトウイスキー です。
この蒸溜所は、新進気鋭の蒸留所として業界の注目を集めています。
ピートのフレーバーに加え、フルーティな香りが特徴です。
複雑な味わいが魅力的なウイスキーです。
ロックやストレートがおすすめです。
まとめ
さて、アイリッシュウイスキーについてまとめながら、その魅力について紹介してきました。
スコッチウイスキーは好きで、よく飲むけれど、アイリッシュウイスキーは飲んだことがないという人もいるかもしれません。
癖がなく、まろやかな味わいのアイリッシュウイスキーを是非試してみてください。
アイリッシュウイスキーを味わいながら、その歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。