山田錦のテロワールと日本酒のプレミアム銘柄

日本酒

新潟銘酒 飲み比べ720mlx3本ギフト (越乃寒梅白、久保田千、八海山普通) 5001

世界中で日本酒が愛され、クールジャパンの代表として輸出が拡大しています。

日本酒のなかで最高峰と位置付けられ、各蔵元が自社のフラグシップ銘柄として、世に問うのが大吟醸酒です。

大吟醸酒の原料として高く評価されて、酒米としてすべての条件を備えているのが山田錦ですが、なかでも兵庫県は山田錦の「テロワール」と呼ばれ、兵庫県産の山田錦は最高の酒米と称されています。

普通酒の販売が伸び悩むなか、世界的な和食ブームを背景に高級銘柄として、手に入らないほど人気が集まっている日本酒があります。

今回、兵庫県産の山田錦と山田錦を原料にしたプレミアムな吟醸・大吟醸酒をご紹介します。



酒米・酒造好適米とは

日本酒は、米のデンプンを麹菌の酵素によって糖化し、糖を酵母菌がアルコールに変える2種類の微生物反応で醸造されます。

原料にはデンプン質の含有量が多く、雑味や色付きの原因となるタンパク質や脂肪が少ない、醸造用として特別に栽培された酒米(酒造好適米)が用いられます。

一般の主食用米は玄米の外側を10%ほど精米して、脂肪やたんぱく質を糠(ぬか)として削り落としていますが、酒米は30%以上、大吟醸になると50%以上、仁丹の粒のようになるまで精米で削り落しています。

従って、酒米は精米しやすいように、米粒が大きく、表面に凹凸が少なく(精米で糟が残りにくい)、割れにくい特徴が必要です。

また、米主食用米はデンプンが密に詰まり、水晶のように透明な米粒ですが、酒米はデンプン質の中に隙間があるため、中心が白く不透明です。

不透明な部分を心白(しんぱく)とよんでおり、心白があると吸水カが高く、麹菌が米粒の中側まで入り込みやすいため、糖化されやすい利点があります。



山田錦

白鶴 特撰 特別純米酒 山田錦 720ml

酒米の条件をすべて備えている山田錦は大正12年、兵庫県立農事試験場で、山田穂と短稈渡船を交配させて生まれ、昭和11年に山田錦と名付けられました。

平成27年度に全国で生産された酒米のうち、山田錦が全体の37.2%、五百万石は25.1%、美山錦が7.5%を占めました。

昨今の吟醸酒人気に加えて、日本酒の輸出が急増していることから、山田錦の需要は拡大しており、主食用米より酒米の価格が安定していることもあって、増産への取り組みは日本各地に広がっています。

現在、山田錦の生産量が最も多いのは兵庫県ですが、岡山県、山口県、福岡県、滋賀県、広島県、徳島県、新潟県など、全国33府県で生産されており、生産量は右肩上がりに増えています。

山田錦 特A地区

兵庫県産の山田錦は品質が高いといわれ、ほぼ70%が上位等級(特上・特等)です。

そのなかでも、別格なのが、特A地区で栽培された山田錦だといわれます。

特A地区とは、神戸市北部・六甲山の裏側に位置する播磨北東部の三木市口吉川・吉川町および加東市社町・東条町です。

この地域は、1年を通じて晴天が多い瀬戸内海沿岸部特有の気候です。

夏の夜に瀬戸内海から吹く暖かい風は六甲山に遮られるため、気温は下がり、夏の日較差は10℃以上になります。

中山間地域が適しているといわれる山田錦ですが、三木市吉川町や加東市の栽培地は標高100m前後の谷間に段々に広がっており、保水力や肥料の吸着力が高いモンモリロナイトを多く含む粘土質の土壌です。

山田錦で醸したプレミヤム銘柄

獺祭旭酒造山口県

旭酒造 獺祭 (だっさい) 純米大吟醸 磨き50 1800ml

山口県岩国市にある昭和23年創業の旭酒造は、日本酒ファンの間でかなり話題になっている蔵元です。

蔵元がある獺越(おそごう)は山間部で、獺はカワウソ、この地名と正岡子規の号・獺祭書屋主人から獺祭と名付けられました。

旭酒造は普通酒は製造していませんので、おすすめは純米大吟醸酒になります。

獺祭のラインアップのなかで、最もスタンダードな一本が「獺祭 純米大吟醸50」です。

香り、甘みと旨味がバランスし、舌触りも滑らか、切れが良いので後味に甘さは残りません。

他にも山田錦を歩合39%、23%まで精米した純米大吟醸酒があります。

十四代高木酒造山形県

十四代 中取り大吟醸 播州山田錦 720ml

山形県村山市にあり、元和元年(1615年)の創業と伝わる高木酒造は、「朝日鷹」で地元に知られています。

しかし、手に入りにくいほどに人気が集中しているのが、幻といわれる「十四代」で、淡麗辛口がブームだった頃に、旨口の日本酒として登場しました。

おすすめは「十四代 播州山田錦 中取り 純米吟醸」、山田錦を100%使用し、50%精米です。

フルーティーな含み香があり、しっかりとしてふくらみのある味わいで、「十四代」ならでは旨口、キレがあってのど越しがよい一本です。

中取りとは、醪(もろみ)から日本酒を絞りだす段階の呼び名で、醪を絞るときに、槽の上に酒袋を積み上げて、その重みで搾る方法がありますが、最初に出てくるお酒を「荒走り」、次いで「中取り」や「中汲み」といい、さらに圧力を加えて絞りだしたお酒を「責め」と呼びます。

なお、旨口とは甘口と辛口の中間的な意味合いを表現した独特の言い回しです。

醸し人九平次萬乗醸造愛知県

醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦50% EAU DU DESI(希望の水) 720ml

愛知県名古屋市緑区にある萬乗醸造は、創業は古く正保4年ですが、酒造業は9代目が始め、現在の当主が15代目です。

ビンテージ・テロワールを志向し、兵庫県西脇市黒田庄町で約1haの自社田を所有し、山田錦の栽培も手がけています。

平成9年に発売した「醸し人九平次」が人気を呼んで、パリの3ツ星レストランのワインリストにも採用されています。

おすすめは、醸し人九平次シリーズから「醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 EAU DU DESIR」です。

EAU DU DESIRとは希望の水という意味で、山田錦を50%精米し、愛知県と長野県の境、標高1500mの天然水で仕込んであります。

立ち香は穏やかで花の香りがし、酸味と甘さのバランスが素晴らしく、旨みと甘みと酸味がバランスよく口中に広がります。

田酒西田酒造青森県

西田酒造 田酒 斗瓶取り 純米大吟醸 1.8L

青森県青森市油川大浜にある西田酒造は明治11年の創業、創業以来造り続けられている「喜久泉」は淡麗で軽快な味わいのお酒です。

昭和49年に発売した「田酒」は米の旨みが感じられる旨口の純米酒です。

おすすめは田酒シリーズの「純米大吟醸 田酒」、山田錦を歩合40%まで精米し、八甲田山の伏流水で仕込んだ最上級の純米大吟醸です。

柔らかな吟醸香と芳醇な味わい、気品があってまろやかなふくらみ、厚みがありながらキレの良さが際立つ一本です。

飛露喜廣木酒造福島県

飛露喜(ひろき)純米大吟醸【山田錦100%】720ml 廣木酒造 福島県

福島県河沼郡会津坂下町にある廣木酒造は江戸時代中期・文政年間の創業、地元では「泉川」の蔵元としても知られています。

会津坂下町は会津若松と新潟を結ぶ越後街道の宿場町として栄えました。

現在の当主になってから、平成11年に「飛露喜」 を発売し、瞬く間に人気の銘柄となりました。

おすすめの一本は「純米大吟醸飛露喜」で、 精米歩合は麹米が40%、掛米が50%、阿賀川の伏流水で仕込んであります。

上品な立ち香が漂い、フルーティーな吟醸香も感じられ、口に含むとなめらかな旨味と酸味のバランスがとてもよい純米大吟醸です。

黒龍黒龍酒造福井県

黒龍 大吟醸 龍 720ml

福井県吉田郡永平寺町にある黒龍酒造は文化元年に創業し、日本を代表する吟醸蔵として、皇太子殿下ご成婚の際の引き出物や長野オリンピックの接待用にも使われています。

特A地区である兵庫県加東市東条町の山田錦を使い、最高級の日本酒造りを目標として、平成6年に全国11の蔵元と「フロンティア東条21」を結成しています。

おすすめは黒龍の定番「黒龍 大吟醸 龍」、山田錦を歩合40%まで精米し、ワインの熟成を応用したロングセラーの大吟醸酒です。

上品でフルーティーな香りと上質な味わいの淡麗辛口ですが、日本酒の概念を超える異次元の味わいが楽しめる一本です。

まとめ

山田錦は様々な県で生産されるようになりましたが、兵庫県産の山田錦が蔵元から切望される理由は高い品質にあり、上位等級(特上・特等)が圧倒的に多いことです。

今年、山田錦の生誕80周年を記念して、兵庫県産の山田錦で醸された極上の日本酒80銘柄が勢ぞろいした日本酒ファン垂涎のイベントが東京と神戸で開催されました。

神戸ビーフがメインのコース料理を食べながら、ゆったりと極上の銘柄の飲み比べができて、最高の一夜になったようです。

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