海外から、日本酒の魅力を再発見できます
海外ドラマや映画などを見ると、日本食レストランや食べ物が頻繁に出てくるようになりました。
日本食はヘルシーでスタイリッシュな食べ物として、ワールドワイドになったと言えるでしょう。
そんな日本食にぴったりの飲み物として、日本酒が脚光を浴びています。
現在、海外にも日本酒の愛好家が増え、有名レストレランでも日本に負けないほど多くの日本酒を扱うようになりました。
日本食とともにポピュラーになりつつある日本酒は、海外でどのように楽しまれているのでしょうか。
目次
日本酒ブームは日本食ブームから
日本酒は多くの国に輸出されていますが、ダントツで多いのはアメリカです。
アメリカでは1970年代に入ってから、SUSHIブームが始まりました。
医者や弁護士、アクターたちセレブが好んでSUSHIを支持しました。
これによって、全米においてSUSHIがトレンドとなるのです。
その後、アメリカに健康志向ブームが起きます。
肥満やジャンクフードの摂りすぎなどが社会的問題となり、長寿国日本における食が評価されるようになりました。
栄養バランスの取れたシンプルな食事を提供する日本食はアメリカにも浸透していき、アメリカの人たちはさらに日本食に触れる機会が増えました。
アメリカ一の大都会、NYでは超高級日本食レストランから、気軽に入れる居酒屋まで、好みやスタイルによって日本食を味わえる場所があります。
5ブロックも歩けば1つは日本食レストランにあたるほどです。
そして、そうした場所で日本酒もポピュラーなアルコールとして好まれるようになっていきました。
アメリカ人の飲み方
昔の日本では日本酒はおじさんの飲み物、という印象がありましたが、現在は全く違います。
女性でも日本酒を好む人が増えていますし、女性向けの華やかな日本酒がたくさん販売されています。
値段もピンからキリまで多種多様で、個人の好みを追及することはたやすいです。
これはアメリカでもいえることで、日本風に多様な日本酒を置いている店が増えています。
特にニューヨークでは居酒屋がブームとなっていて、ニューヨークタイムズでも取り扱われたほどです。
そんなアメリカではチーズをつまみに飲むことが好まれています。
チーズも日本酒も共に発酵食品のため、相性が良いようです。
特にブルーチーズと大吟醸の組み合わせはバランスが良いと言われています。
アメリカでは、日本酒は冷えたワイングラスにサーブされます。
ワイングラスの日本酒とチーズ、というのは日本人からすると少し違和感を覚えます。
しかし、アメリカでは余程の通以外は熱燗などにはせず、ワインのようにおしゃれに楽しむもののようです。
こんなものも人気がある?
日本でも大変人気のあるチョコレート菓子キットカットですが、様々なフレーバーがあることでも知られています。
抹茶味は海外の人々に大変人気があるようですが、実は日本酒味のキットカットも大変話題になったのです。
USアマゾンにおいて、評価は星4.5なので、なかなか好評なのではないでしょうか。
レビューを見てみますと、‘日本酒が好きなら間違いない、一番のおすすめの味!
’というものや、‘パーティに持っていって大好評だった’などとあります。
日本酒はこんなところでも海外の方々に受け入れられているのです。
海外の愛好家による日本酒イベントとは
このように海外でもファンの多い日本酒ですが、その愛好家たちが大興奮するイベントが年に1度、行われています。
行われるのはニューヨーク、ホノルル、そして東京の三都市です。
その名も「THE JOY OF SAKE」といい、海外の日本酒愛好家たちが楽しみにしているイベントです。
一人につき95ドルというなかなか高額な入場料ですが、チケットはすぐにソールドアウトしてしまいます。
この「THE JOY OF SAKE」とは、いったいどんなイベントなのでしょうか。
「THE JOY OF SAKE」とは
イベントを主催しているのは、国際酒会です。
このNPO法人はハワイに本部があり、日本酒のおいしさと文化を海外に広めることを目的としています。
「THE JOY OF SAKE」は海外で行われる最大級の日本酒試飲会で、2001年にホノルルで初めて行われました。
まず、400種類を超える日本酒がエントリーした、全米最大級の鑑評会「全米日本酒歓評会」が行われ、吟醸酒・純米酒などカテゴリーごとに受賞酒が決まります。
その後、高級レストランが提供する酒肴、オードブルなどを日本酒と共に楽しむのです。
国内外の日本酒を試せる、又とないチャンスです。
どんな審査をするのでしょう
良質の日本酒を楽しむための品評会なので、ただのパーティではありません。
審査は「香り」「バランス」「味」「総合評価」の4項目で行われ、純米酒・吟醸酒・大吟醸酒A(精米歩合40%以下)、大吟醸酒B(精米歩合50%以下)のカテゴリーごとに行われます。
審査員にはプロのワインテスター含め、10人の専門家が名を連ね、銘柄を隠した目隠し方式で審査を行います。
一次審査・二次審査が行われ、最終的に金賞・銀賞・黒賞が決定します。
黒賞とは日本のみで発売されている日本酒を対象とします。
日本の日本酒の品評会は、パーティ的な要素はありません。
対してこの「THE JOY OF SAKE」の品評会はエンターテインメント的要素が強く、より楽しめるものとなっています。
THE JOY OF SAKEで最高級レストランの味も試せます
イベントで出されるオードブルやアペリティフは、どれも最高級レストランの提供するものです。
普段気軽に食べることのできない料理を、おいしい日本酒と共に頂けるとあって、どのブースも大盛況です。
和食だけではなく、イタリアン、中華、フレンチとジャンルも様々ですので、グルメファンの方も大満足すること間違いありません。
しかも、この手のイベントにありがちなビュッフェスタイルではなく、各店1枚ずつ12枚つづりのチケット制なので、自分の好きな肴を確実に頂けます。
ビュッフェスタイルにありがちな、人気ブースに人がおしよせて食べられない、ということはありません。
余裕を持ってゆったりした気分で日本酒とおいしい料理を味わうことが出来ます。
会場ごとに雰囲気も違う?
もともとこのイベントはホノルルで始まりましたが、その後ニューヨーク、逆輸入のような形で東京でも行われるようになりました。
三か所それぞれに、客層や雰囲気も違うようです。
ホノルル
リラックスした雰囲気で、30代が多いようです。
参加者の4割が女性です。
日本酒に興味があり、パーティを楽しみたいというボランティアが多く、会場を盛り上げています。
参加者も1400人と3都市の中でも一番多いです。
ニューヨーク
参加者は700~800名と少し少な目で、年代も40代~と、おちついた雰囲気です。
日本酒の人気に伴い、女性の参加者も少しずつ増えているようです。
東京
参加者は1000人ほどでこちらも40代~と、落ち着いています。
女性は15%ほどで、あまり多くはありません。
酒蔵の方の参加も多く、パーティに参加すれば、貴重なお話が伺えるかもしれません。
全体を通して、酒業界の方の参加が多いようです。
しかし日本酒の人気上昇に伴い、これからはもっと一般の消費者が参加するようになるのではないでしょうか。
今後は開催場所も増やすようで、ロンドン開催が計画されているようです。
まとめ
海外において日本酒は益々存在感が高まっています。
「THE JOY OF SAKE」のようなイベントが逆輸入されることで、私たちは改めて日本酒のすばらしさを再確認出来ます。
日本酒とチーズを合わせたり、洋風なオードブルと共に頂いたりということは、あまり一般的ではありません。
しかし、海外流の飲み方を試してみるのも楽しいかもしれません。
そうすることで、今までとは違った日本酒の魅力を発見できるのではないでしょうか。