日本酒の大吟醸酒って? 違いを知って大人の酒を楽しもう

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日本酒 死神 720ml

酒を買う時や居酒屋のメニューなどで、醸造酒・吟醸酒・純米酒・・・などの日本酒の種類を目にして「どう違うの?」と思ったことはないでしょうか。

中でも大吟醸酒は、どれも価格が高くて高級なようです。

大吟醸酒はなぜ高級なのでしょうか。

また、せっかく大吟醸酒を飲むなら、どんな風に味わいを楽しむのがいいのでしょうか。



大吟醸酒っていったいどんな酒?

大吟醸酒とは、「精米歩合50%以下で吟醸造りで作られた特定名称酒」です。

とはいえ、そう説明されて分かるのはよほどの日本酒愛好家か酒業界の方などでしょう。

大吟醸酒が高級なのは分かるけど、どんな酒のことを指すのかは分からないという方のために、ここではもう少し詳しく大吟醸酒について掘り下げてゆきましょう。



米を削って旨い酒に。精米歩合とは

日本酒の原料となる米は、粒の中心から離れた外側に近いほど、たんぱく質を多く含んでいます。

このたんぱく質が酒の雑味の原因になります。

ですから米の外側を削って雑味を減らしているわけです。

削れば削るほど雑味がなくなって旨い酒になりますが、その分多くの原料米が必要になります。

普通酒と呼ばれるには精米歩合の規定はありませんが、本醸造酒は70%以下の精米歩合が必要とされます。

これは玄米の状態から3割以上を削って、粒の中心から7割以下を使うということです。

大吟醸酒となると50%以下の精米歩合と定められています。

米の粒の半分以下しか使わない、贅沢な酒ということです。

ちなみに、米を削る・研ぐとも言えますが、酒造りの現場では「米を磨く」と言うそうです。

ちょっと美しい表現ですね。

手間と時間をかけた賜物。吟醸造りとは

高温で発酵させれば酒は短期間で仕上がりますが、低温でじっくりと長い期間をかけて発酵させると、酒は華やかでフルーティな香りをまとい、まろやかな味わいになります。

吟醸造りではこの低温で長い期間をかける発酵をさせ、そうして生まれる特有の香りを吟醸香と言います。

吟醸造りと呼ばれる条件はこれだけではありません。

精米歩合は60%以下でなければならず、ここにも手間がかけられています。

また、良質な酵母を使うことも定められています。

こうした特別な手間をかけて造られるのが吟醸酒で、さらに精米歩合が50%以下になると大吟醸酒となります。

酵母は製造元によりますので、この酵母の違いが酒の芳香の違いになるところが、吟醸酒を楽しむ点のひとつです。

吟醸香について、もう少し知っておこう

吟醸酒には良質な酵母を使うことが条件となりますが、その酵母について明確な定義はされていません。

製造元は吟醸酒のために酵母を選び抜きます。

この酵母の違いが酒の芳香、つまり吟醸香(ぎんじょうか)の違いになり、吟醸酒を楽しむ点のひとつです。

よく例えられる言い方にも「花のような・リンゴのような・メロンのような・バナナのような…」と様々です。

酵母にとっては高温である方がラクに発酵できますが、低温で発酵させられることでこのような吟醸香を生み出すのです。

華やかな吟醸香を楽しむ方もいれば、吟醸香が強いとそれを嫌う方もいます。

自分の好みの香りを探すのも楽しいですのでおすすめです。

大吟醸酒は特定名称酒

精米歩合に規定がなく、醸造アルコールを加えて作られたものが普通酒ですが、それ以上の条件を満たしたものは特定名称酒と呼ばれます。

条件とは、精米歩合、醸造アルコールの使用の有無、そして製法などで、色や香りが良いことも求められます。

本醸造酒・純米酒・特別本醸造酒・特別純米酒・吟醸酒・純米吟醸酒・大吟醸酒・純米大吟醸酒の8種がこれに当たります。

酒造りの一部の条件のみで分類されていますので、この種類だからこの味!

というように味わいが決まるわけではありませんが、おおよそどのように造られたかを知る目安にできます。

純米酒でない酒には何が入っている?

米は酒の原料ですが、純米酒とそうでない酒がありますね。

純米酒ではない酒には米以外の何かが使われているのでしょうか。

実際はどの酒でも、米・米麹・水を原料とします。

純米酒はこれらの原料だけで作られています(厳密にはその他の条件もあります)。

では純米酒ではない酒に何が加えられているかというと、そう、先ほど述べた「醸造アルコール」です。

醸造アルコールを加えた酒は純米酒とは呼ばれないのです。

醸造アルコールって?大吟醸酒にも入っている?

醸造アルコールという名前や、酒に加えられるということから、工学技術か何かで人工的に作られたものだと思う方もいるかもしれません。

しかし安心して下さい。

醸造アルコールは、米やサトウキビ等の作物を発酵させて蒸留したものです。

アルコール度数が一定の基準を満たせば、焼酎でもあります。

江戸の昔に酒の腐敗を防ぐ目的で加えられたのが始まりですが、同時に酒の味をスッキリ軽やかにすることも知られていました。

戦後は安い酒のかさを増すために醸造アルコールを加えられることもありましたが、現在では加熱殺菌によって腐敗を防いでいるので、酒の味をととのえたり、アルコール度数を調整したりする目的で使われています(加熱殺菌をしていない酒も生酒として販売されています)。

大吟醸酒にもこの醸造アルコールが加えられています。

大吟醸酒などでは、ほぼ酒の味をスッキリ軽やかにととのえることが目的です。

また、醸造アルコールには酒の香りを引き立てる効果もあります。

醸造アルコールの入った酒に否定的な方もいるのも事実ですが、スッキリとした味に華やかな吟醸香という最高のバランスを求めて使われますので、醸造アルコールが入っているから旨くないという訳ではありません。

純米大吟醸酒は最高ランクの酒?

純米大吟醸酒とは、「精米歩合50%以下で、良質な酵母を使い、低温でじっくり期間をかけて発酵させ、醸造アルコールを使用せずに、米・米麹・水だけで造られた酒」ということになります。

醸造アルコールによる味や香りの調整がされていない訳ですが、こちらも各製造元が純米吟醸酒として最高の旨さを追求して造っていることに変わりはありません。

醸造アルコールを使用しない純米酒であることにこだわりがあれば、純米大吟醸酒を最高の酒と考える向きもあります。

しかし、大吟醸酒だから、純米大吟醸酒だからとランクの上下を決めることには無理があるでしょう。

大吟醸酒は酒職人の手間を味わう高級酒

以上のように、大吟醸酒は酵母選びから製法まで非常に手間の込められた酒です。

ですがその他の酒には大変な手間がかかっていないという訳ではありません。

酒造りにかかる手間は、精米歩合や酵母の選定、吟醸造りであるかどうか、そして純米で仕上げるか醸造アルコールで調整するかの他にも実に様々あるからです。

あまりに手間がかかるので多くの製造元が使わない製法を敢えて取り入れて造られる酒もありますし、厳選した原料米を契約農家に作ってもらっている酒もあります。

それらの酒が必ずしも大吟醸酒ではありませんので安易なランク付けはできません。

それでも大吟醸酒は製造元がこだわり抜いて造った高級酒であることに間違いはありません。

まとめ

いかがでしたか。

大吟醸酒は日本酒の中でもとりわけ手間と時間をかけて造られた、味と香りの良い酒であることがお分かりいただけたと思います。

酒の味や香りの好みは人それぞれですから、酒の種類や価格だけで善し悪しを決められるものではありませんね。

自分にぴったりの酒を探すときには、ぜひ大吟醸酒も味わってみて下さい。

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