日本酒はこうして生まれる

日本酒

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ヨーロッパではブドウから出来たワインが広がり、それがまた世界中に広まりました、日本でもそれと同じように米で出来た日本酒が広がり、それがまた世界中に広がりつつあります。

繊細で奥深い味わいを持つ日本酒は、あらゆる料理に合わせることができます。

さらに、熱燗からみぞれ酒まで幅広い温度で楽しめる世界でも珍しい酒です。

甘い辛いだけじゃない奥深く繊細な味が魅力ですが、今回はこの日本酒の造り方についてお話しします。



米の違い

我々が普段食べている食用米は酒造りにおいて一般米と呼ばれます。

米には澱粉の他、タンパク質や脂質分があるので食べる場合、旨みを感じますが、酒造りの場合はこれらが多すぎると雑味の原因になってしまいます。

そのために酒造りでは精米という工程で表面を磨き、タンパク質や脂質分を取り除く作業が行われます。

この精米をはじめ、酒造りの様々な工程において扱いやすく、美味しい日本酒になるように品種改良されたのが酒造好適米です。

一般米と比較して酒造好適米は米粒が大きい、心白が大きい、タンパク質が少ない、吸水性がよい、糖化性がよい、もろみに溶けやすいなどの特性があります。

心白とは米粒の中心部に白く見える澱粉質の組織が粗い部分のことで、米粒を光りに透かしてみると酒造好適米は中心部にこの心白が白く輝いて見えます。



主な品種

白鶴 特撰 特別純米酒 山田錦 720ml

酒造好適米の代表は山田錦、次いで五百万石、美山錦、雄町などがあり、強力(ごうりき)や渡り船など幻に、なっていた品種を再び現代に復活させたものもあります。

酒造好適米の栽培には、日照りが長く、昼夜の寒暖差が大きいほど適した土地になります。

例えば山田錦は兵庫県三木市、雄町は岡山県赤磐市あたりが適地として有名です。

酒米は背が高い

酒米によっては山間部の棚田がよいとされ、こうなってくると農耕具が入らず作業効率が極端に低下するので当然収穫量は少なくなります。

さらに酒造好適米は稲穂の背丈が驚くほど高く、収穫時期が一般米と比べて遅いため強風に弱く倒伏しやすいので台風などの被害にあいやすいです。

農家にしてみればとても気難しい品種が多いので一般米よりも高値で取り引きされるようなものもあります。

最近では地元産の米を使用した酒造りが盛んで、各地の気候風土にあった品種が開発されています。

水の違い

日本酒の成分のうち8割は水です、仕込みに使用する水以外にも、米を洗い吸水させるための水やアルコール度数の調整のために原酒に加える水、道具や瓶を洗うための水なども必要になり日本酒造りにおいて水は大量に利用されております。

まず日本酒造りに使用される水は有害物質が含まれていないことが第一条件になります、水道水よりも厳しい基準をクリアしたものだけが酒造りの水として使用できます。

原料の大部分を占める水が変わることによって日本酒にかなりの影響があります、最もはっきりとした影響が出るのはカルシウムやリン酸、マグネシウムなどのミネラル含有量の違いです。

これにより日本酒の味わいに作用する骨格が決まってきます。

酒造用水

一般的にはミネラル含有量が多い硬水で仕込まれた日本酒はしっかりとした味わいに、逆に含有量が少ない軟水で仕込まれた日本酒は柔らかい味わいになる傾向があります。

多くの酒蔵では専用の井戸より汲み上げた水を利用しています、ですが現代では濾過技術や醸造技術の発達により同じ水から多種多様な日本酒が作れるようになってしまったために以前より水質由来の味わいの地域差が曖昧になってきたとも言われています。

こうした日本酒造りに使用される水を酒造用水と呼びます、直接原料となる水から、道具などを洗うための水まで用途は幅広く細分化され使い分けられています。

酒造用水は使用する酒米の重量の数十倍も必要だと言われております。

麹菌

日本酒造りに最も代表的な原料は上記の米と水ですが、実は米と水だけでは日本酒は作り出せません。

米が日本酒になるまでには、澱粉質を糖分に変える糖化とその糖分をアルコールに変えるための発酵の段階を踏まなくてはなりません。

これらの各段階で活躍するのがアスペルギルス・オリゼーと呼ばれる麹菌とサッカロマイセス・セレビシエなどの酵母菌になります。

まず糖分を作り出すのに欠かせないのが麹菌です。

この菌はカビの一種で日本の酒造りに使用される麹カビには数々の種類があり、焼酎には白麹、黒麹、黄麹、泡盛には黒麹、日本酒の場合は味噌や醤油と同じく通常は黄麹が用いられています。

麹菌は蒸し米にふりかけて増殖させることで、麹となり日本酒の原料になります。

麹菌には糖化だけではなくタンパク質をアミノ酸に変化させることで旨みや香りを作り出す役割があります。

酵母

そしてもうひとつ、発酵に欠かせないのが酵母菌です。

酵母は発酵する際に酸や香味成分を生み出します、酵母によって味や香りが大きな変化をあらわすことが解明されてから酒類総合研究所や日本醸造協会ばかりでなく、各都道府県や大学、酒蔵などでも独自の酵母を培養して使うようになってきました。

米を酒へと醸すために不可欠であるだけでなく、出来上がる日本酒の香りや味わいにまで影響するこれらの微生物たちは、日本酒の多様化や個々の酒蔵独自の個性を生み出すための重要な要素の一つになっています。

酵母の種類

協会酵母は日本酒造協会が販売しており、最も多く使用されているのは7号と9号です。

それぞれ01がつく酵母は泡が立ちにくい系統で泡無し酵母と呼ばれます。

初心者は酵母まで気にせず、酒米の品種でご自分が好きな傾向を選ぶのがおすすめです。

協会酵母

6号および601号は秋田県にある新政酒造の醪から分離した酵母で、発酵力が強く香りはやや低くまろやかで淡麗な酒質になります。

7号および701号は別名真澄酵母と呼ばれ、真澄の醸造元である長野県の宮坂醸造の醪から分離されました。

華やかな香りで吟醸酒から普通のものまで幅広く使用されています。

9号および901号は香露の醸造元である熊本県酒造研究所の醪から分離された酵母で、短期間で仕上がる醪になりやすく華やかな香りで吟醸香が強いです。

10号および101号は別名小川酵母や明利酵母と呼ばれます。

東北地方の酒造場から分離、選別された酵母で、低温で長期間発酵する醪になりやすく吟醸香がつよいです。

11号は7号の変異株でアルコール耐性が強いため発酵が長期間になってもキレがよく、アミノ酸が少ないと言われています。

14号および1401号は別名金沢酵母と呼ばれます。

発酵が中期間の醪になるので、酸が少なく穏やかな味わいになります。

特定名称酒に使用されています。

1501号は別名秋田流花酵母AK-1と呼ばれ、酸が少なく吟醸香が強いとされます。

開発酵母

その土地の水や生産される米などと合う酵母として各都道府県自治体で新しく開発された酵母になります。

広く分けると花酵母と自家酵母にわかれ、花酵母は花から分離された酵母で東京大学短期大学部醸造学科で初めて分離に成功したものになります。

可憐な花を思わせる独特のやわらかな味わいが特徴です。

自家酵母は酒蔵に住み着いたいわゆる蔵付き、もしくは家付きなどと呼ばれる酵母です。

最近では蔵独自の酵母を培養して積極的に使い、個性的な日本酒をつくる蔵も増えてきております。

山形酵母は控えめで上品な吟醸香があり、純米吟醸酒や大吟醸にもよく使われております。

長野酵母は吟醸香の成分の一つであるカプロン酸エチルを多く生成するので華やかな香りの日本酒が造られます。

静岡酵母は酸が少なく吟醸香が高いです、やわらかな果実のような香りが特徴です。

広島酵母は発酵力が強いために安定した発酵力があります。

まとめ

ヨーロッパで広がりをみせたワインはブドウの品種、ブドウの育った土地、ブドウの育った環境、酵母の種類により味や風味が異なりますが、日本酒でもやはり酒米に使用される米の品種、米の育った土地、米の育った環境、醸造に使われた酵母菌の種類が大事です。

ただそれと同じくらい大事なものがあります、それが水です。

日本酒の成分で多く含まれるのが水だからです。

どのような酒にも美味しく作るための作り手の工夫や思いが詰まっています。

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